みんな大好きSanmartinのまとめ記事です。中華オマージュ界の覇者にして、筆者をアリエク沼に引きずり込んだウォッチメーカー。その魔性の魅力に迫る。
サンマーティンとは?

San martinとは広東省・広州のウォッチブランドである。ブランドとしては2016年にスタートしたらしい。
ラインナップとしては多くの中国製腕時計メーカーと同じく、R社やT社のオマージュモデルが多い。中華時計ブランドとしては高価格・高品質路線で売っているブランドで、Pagani design・Steeldive・Berny watchよりも格上で、見比べると明らかにクオリティの高い時計を作ってくる。
同じ高価格・高品質路線のブランドで見比べるとCronos watchよりも価格帯は上で、より硬派な時計を出してくる。オリジナルデザインの多いProxima、チタンや904Lといった特殊素材の多いIX&Daoと価格は並ぶが、San martinはあくまで正統派で勝負してくるようだ。
愛称はサンマ。そのクオリティから国内外問わず一定のファンが存在する。また単なるレプリカに飽き足らず、最近はオリジナルデザインの時計も出しておりマイクロブランド化を模索しているようだ。このチャレンジ精神と向上心は好感が持てる。
圧倒的な質感


San martinを語る上で外せないのは圧倒的な質感だろう。中国製腕時計(中華時計)の中でも出色の出来で、外装についてはマジでケチのつけようがない。これは5ch腕時計板、海外のredditなどのネット掲示板でも概ね高評価で、全面的に同意する。
サファイアガラスなどの外装パーツも概ね高いグレードが使われており、ルミノバ(夜光)も明るいためデザインと実用性を共にハイレベルで両立している。今までPagani designの時計で満足していた人が、サンマの時計を手に取ったらおそらく昇天してしまうのではないかと思う。
そのパガーニデザインも価格相当に悪くない(むしろ滅茶苦茶頑張っている)が、針の品質、エッジのダレ、ブレスのクリアランス、全体的なレプリカ精度など、細かいところを比べると雲泥の差がある。中華時計はとにかく層が分厚い。
アリエクで買えば当然新品でやってくるのだが、使ってしまうのを思わずためらってしまうほどだ。スイスやドイツ、国産でもここまでのものはなかなかなく、20万円クラスでは太刀打ちできないことが多い。同じレベルのガワを望むならそれ以上積む必要があるだろう。
弱点
弱点としては価格が高めなところ。段階的に引き上げて行ったため結構いい値段がする。同じく高品質なCronos watchやProximaよりも高く、特殊な素材を使ったIX&Daoと同じくらいする。ただしバージョンアップを定期的に行っており、品質も上がっているため不満点は少ない。
もうひとつは搭載ムーブメントで、PT5000(三針モデル)やHangzhou6460(GMT)といった中国製ムーブメントが使われていることが多い点。手持ちのモデルでは前者はねじ込み不良があり、後者は巻き上げ不良で故障しているため、あまりいいイメージがない。
ただし個体差の可能性はあるし筆者の使い方が悪いせいかもしれないので、もう少し使ってみないとわからない。もし再現性があるならそうなのかもしれない。ETA2824-2やそのクローンのセリタSW200でリューズ抜けはあったので、上記ムーブが特段悪いというわけでもないだろう。
とはいえ、今まで中国製腕時計を集めてみてNH35(三針モデル)やNH34(GMT)、ミヨタ8215(三針)では今のところ不良はないので気になるっちゃ気になる。
ラインナップ紹介
※画像リンクを踏むとアリエクの商品ページに飛びます。
※筆者が所持・レビュー記事を書いたモデルは見出しに☆マークがつけました。
SN015-G☆

R社のGMT達人2(現行品)のオマージュモデル。San martinの真骨頂で他のオマージュとは一線を画す仕上がりがある。触ってみた時の触感から既に違っており、特にベゼルインサートの厚さ、サファイアガラスのセット方法は本家に忠実なものとなっているため驚く。
双方向回転ベゼル・ルミノバベゼルをいち早く実装していたモデルで、後に他のモデル・あるいは他のメーカーにも普及していった。サンマーティンのレプリカ志向の高さを体現しているモデルでもある。
欠点としては価格でかなり高いことと、ムーブメントがNH34でなく杭州6460であること。そしてGMT達人2は激戦区で他社もかなり品質の高いものを出してきているので、そこにお金を出せるかになるだろうか。本物志向の方に。
SN016-G

上記SN015-Gの派生モデル。違いとしてはブレスレットがジュビリーブレスになっている点と、ガラスのサイクロプスレンズがない点。SN015-Gが売切で入手できない、サイクロプスレンズやジュビリーブレスが苦手な人はこちらを選んでも良い。
ちなみにサンマーティンのブレスレットは別売りで買える。そしてジュビリーブレスの品質が反則的に高いので後で単品購入する価値はある。
SN0005-G2☆

こちらはR社初代GMTのオマージュモデル。アンティークウォッチのデザインだが、両面ARコーティングガラス、スーパールミノバなど現代技術を使われており、防水性能も200mを確保している。バージョンアップデートで双方向ベゼルが搭載された。
個人的にSan martinの看板モデルと思っている。レトロなデザインでありながら現代技術を用いてリファインされている点が素晴らしく、敢えてサファイアガラスを搭載している点が良い。新品で買えるアンティークウォッチといった趣きだ。
SN0005-G-B3

上記SN0005-Gの派生モデル。文字盤がユーズドライクとなり更にレトロな雰囲気が増している。ユーズドライクであるが汚らしくはなっていない点は良い。実はちょっと欲しい。
SN0128-G☆

T社黒港のオマージュモデル。おおよその部分でR社潜水艦モデルを準拠した とほぼ仕様・クオリティは同一のものとなる。
一見すると中華時計としてはよくあるダイバースウォッチに見えるが、これも質感は他のメーカー圧倒しており鬼気迫る品質となっている。レプリカ性を追求しているためか、ベゼルは非ルミノバのため発光しない。職人技が光る硬派な1本。
SN030-1A☆

フリーガータイプのパイロットウォッチ。昔ながらの黄色味が強いナチュラルタイプのルミノバが使われており、期待を裏切らずガッツリ光ってくれる。
型落ちのためか他のラインナップに比べるとリーズナブルなのもうれしい。在庫がはけたら改定される可能性もあるので今のうちに。
SN030-1A (Bronse)

上記フリーガーウォッチのブロンズケース版。ブロンズケースは金属アレルギーが心配なのでちょっと‥‥と思われがちだが、この時計はケースバックは316Lでできているおり、ほぼ巻いている際にほぼ接触する箇所はない。
尾錠は当たってしまうが、この部分は何か別のものに替えてしまうといいだろう。
SN0020-G
(39mm版)

R社の旧式冒険者1モデル。モデルチェンジ前のアラビックを採用しており、アンティークな雰囲気に仕上がっている。こちらはケース径39mmとなる。
SN0021-G☆
(36mm版)

上記旧式冒険者1のケース径36mm版。個人的には大好きなモデルなのだがどうやら廃盤で品薄らしい。生き返れ‥‥生き返れ‥‥。
SN0107☆

T社の隊員のオマージュモデル。基本的にはR社冒険者1版のSN0020-Gと同じだが、こちらはインデックスがアプライドでなく、ベゼルもヘアラインなのでより実用色が強い雰囲気となっている。
これも36mm版は廃盤。生き返れ生き返れ‥‥。
残っているのは38mm版となるが、これもロットによってデザインやカラーリングが変わるらしい。針がスノーフレークになったり、インデックスがぺラ○ス風になったりする。
SN022-G2☆

サンマーティンも全面夜光のモデルを出していて、これはその中でもベーシックで入手しやすいモデルとなっている。ケース径39mm、ねじ込み式リューズで10気圧防水とスタンダードで普段使いしやすいモデルに仕上がっている。オリジナルデザインで勝負している点も好感が持てる。
ラインナップの中でやや旧式のモデルだったからか、両面非球面カーブガラスではないのが気になる。浅い角度からの視認性があまりよくない。また昔は安かったのだが最近値上がりしたようだ。全面夜光はBerny watchという選択肢もある。
SN012-G

上記SN022-G2と同じ全面夜光時計で、こちらはT社ぺ○ゴス風オマージュとなっている。ダイバースなのでセラミックベゼルもルミノバになっており、防水性能も20気圧防水に強化されている。
○ラゴスオマージュはIX&DaoやSeesternなども手掛けており、こちらはチタンケース&ブレスを搭載するなど意欲的なモデルを出している。替わり素材が多いためこのデザインのものを収集してみるのも面白いかも。
まとめ

今回はサンマーティン特集となった。中華時計は興味が高じて手を出したが最期、廃課金ユーザーみたいなことになってしまったのだが、その沼に引きずり込んだのは間違えなくコイツである。
サンマはとにかく外装のクオリティが高く、またデザインの落としどころに間違えがないため、時計好きにとってはクリティカルヒットしやすくぶっ刺さることが多いのである。おそらく中の人が相当なマニアに違いなく、愛情が伝わってくる。
90年代のレプリカジーンズのように熱心なマニアやフリークが作り、これまた熱心なファンが買いこんで惚れ込み、評価が草の根で広がっていくというタイプのブランドで、redditなどの海外掲示板でも評価されているのが頷ける。
専門店や家電量販店には売っていない中華時計にわざわざ手を出すのは相当な好き者だが、その目の肥えたファンすら尽く撃沈して虜にしてしまうのがこのブランドの魅力であり、魔性でもある。
一緒にはまろうサンマ沼。みんなでハマれば怖くない。
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