オマージュウォッチの本気。本家ユーザーも思わず唸る逸品。
スペック
年代 | 2022年頃? | ムーブメント | Miyota 8315 |
型番 | L6019 | 精度 | +30秒程度 |
直径 | 36mm | 風防 | 片面ARサファイアガラス |
厚さ | 11.5mm | 防水 | 10気圧防水 |
ラグ幅 | 20mm | おすすめ度 | ★★★★☆(4.5) |
機能 | 備考 |
どんなモデル?
R社冒険者1のオマージュウォッチとなる。このモデルでは39mmのものを再現している。
筆者はR社知識には疎いのでどのバージョンかはわからないが、本家で39mmが登場したのは2010年~2021年のバージョンとなるRef.214270なので、多分その辺りのモデルを準拠していると思われる。
オクでたまたま見かけてポチってしまった1本。Cronos Watchはオマージュウォッチメーカーの中ではSan Martinに匹敵する品質があるのだが、いかんせん入手しづらいのでオクで安く売っているとつい手が伸びてしまう。
ディティール
ダイヤル

冒険者1そのものの見た目と雰囲気。文字盤は艶のあるピアノブラックで、ガラスもフラットサファイアという伝統的なスタイルだ。
コストのかからない単純な仕上げやパーツであるが故ごまかしが効かず、その時計の品質がそのまま出てしまう仕上げになるが、このクロノスウォッチはチープさが皆無でちゃんと冒険者してる。正直これはスゲーよくできているなと感心する。
惜しむらくはちょっとロゴが合ってない。エッチングじゃなくて普通の白抜きじゃダメなのかな。
リューズ

リューズは砂時計上のブランドロゴを配す。ガラスはアップライトで、ベゼルからサファイアガラスの縁が露出する形となっている。ぶつけないように多少注意が必要かな。
ふと思ったが、CRONOS Watchってネーミングは品質に自信がないとなかなか付けられないと思う。クロノスって時間の神だろ? 業界では高級時計の雑誌とか、セイコーの往年モデルとして知られているわけで、ソレ名乗ったら「俺がガンダムだ」って言ってるようなもんじゃないか。
実はギリシャ神話にはChronos(時間の神)とは別にKronos(豊穣の神)がいて、Cronosのスペルは実は後者を表すらしい。ならセーフやんと思いきや、後者も地母神ガイアと天空神ウラノスの子となるのでビッグネームには変わりない。なお息子のゼウスに滅ぼされる模様
そんなわけでリューズの砂時計の形はダジャレだが、やっぱりわかってやっているとしか思えず、自信の程が伺える。実際名前負けしていないのがすごい。
ブレスレット

ブレスレットは36mm版と同じでダブルバックルタイプのもの。
これもグライドバックルのようなギミックもなく、取り立てて特徴のないオイスターブレスだがシンプルに出来がいい。San Martinのような粗削りな感じもせず単純にクオリティが高い。904Lシールの貼られたグライドバックル仕様のブレスとほぼ同等の品質がある。
ケースバック

ムーブメントはこの間の36mm版と異なり、ミヨタ製 8315が入っているらしい(ケースバックなので見えないが)
12時に入れてもカレンダーの切り替わる音がしないが、リューズが2段分引けて、1段の位置で回すとパチパチ鳴るのでたぶんカレンダー付の8315だろう。リューズの巻き心地は快適で、ねじ込み式リューズのテンションも強すぎないので故障が少なそうな印象があり、好感が持てる。
夜光(Lume)


夜光はPagani Designとは違って通常のブルーグリーンとなっている。明るさはSan Martinと同様かなり明るくムラもないため美しい。
Cronos watch L6019


36mm版(ホワイトダイヤル)との比較。いずれも高品質でよくできている。実は入っているムーブメントが異なっているらしい。L6019(36mm版)はNH35、こちらのL6016(39mm版)はミヨタ8315とのこと。型番逆なのが紛らわしいw
この39mm版を入手して気付いたが、36mm版のものはブレスのラグ幅をあえて20mmにしたのは英断だと思う。本家冒険者の最新モデル(2021年~)のRef.124270のラグ幅は19mmで、厳密なレプリカ性を意識するならここも変えるべきなのだが、、
汎用性を考えると20mmの方が絶対に都合がいい。San Martinと同じくこのCronos Watchの商品企画者にも時計マニアがいると思われる。
Pagani Designとの比較



パガーニデザインPD-1692との比較。同じ冒険者1のオマージュだが、こうしてみるとケースの形やインデックスの形・配置などが微妙に違う。サイズもパガーニデザイン40mmに対して、クロノスウォッチは39mmと1ミリ小さい。ほとんど誤差のようなものだが印象は結構違う。
まずガラスに違いがある。Pagani Designは両面ARコートのフラットサファイアで、ガラスの縁は面取りかつオフセット配置となる。対してCronos Watchは片面ARコートのフラットサファイアで、ガラスの縁は垂直かつアップライト配置となるためベゼルから露出している。
ガラスがオフセットのためベゼルから露出せず、かつ20気圧防水を確保するパガーニデザインの方がラフに使えるが、形としてはクロノス(とサンマーティン)の方が忠実だと思う。しかし筆者は本家を持っていないのでそこは何とも言えない……。
夜光は両者で発光色が違う。クロノスウォッチのブルーグリーンも見やすいが、パガーニデザインのスーパーブルーはやはり特別感がある。
3つまとめて


冒険者1を3つまとめて。それぞれ36mm、39mm、40mmとケースサイズが異なっている。個人的に好きなのはやっぱり36mmかなぁ。バランスが完璧で完成されている。昔からあるものにはそれなりの理由があるということだ。
なお左のホワイトダイヤルは本家にはない仕様となる。高品質なレプリカに定評のあるメーカーがこういうIFの仕様を作ってくるドキッとする。遊び心があって楽しい。
入手方法(アリエク)

(※画像から商品ページへ飛べます)
クロノスはAmazonでは売っていないので入手難易度はやや高めとなる。中古品をゲットする方法もあるが運任せとなるため、新品が欲しい、どうしても見つからないという人はアリエク推奨。
このブランドは検索に引っかかりにくい。クロノスウォッチとかCronos watch検索をかけるとセイコーのクロノスシリーズや、時計雑誌のクロノスがヒットするため、このブランドだけをふるい分けるのはかなり難しい。
まとめ


無難であまり特徴がないが、それゆえ欠点らしい欠点もなく、単純に時計としての品質が高いのがCronos Watchの特徴となる。こう書くとつまらない時計に聞こえるかもしれないが、それは時計してのクオリティが恐ろしく高いことを意味する。
筆者は国産品のセイコープレザージュやオリエントスターも好きだが、これらの時計は付けてみて何かしら「ん?」と気になるポイントが出てくる。ブレスが割ピンで安っぽいとか、ケース形状とフラットガラスが合ってないとか、コスト的都合やフルライン戦略ゆえの妥協面が見えるためだ。
このクロノスウォッチはそれらの時計の半額以下(オクで買ってる筆者に至っては1/4以下…笑)という超激安にもかかわらず、この「ん?」というポイントが一向に出てこない。せいぜいアップライトエッチングのブランドロゴが合ってないことくらいだ。
アリエクかオークション経由でしか入手できず、ブランド名が検索しづらいのはネックだが、それに換えても入手する価値のある時計と言えるだろう。Pagani Designに飽きてしまったり、満足できなくなってしまった人はオススメ。
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