鶴岡市の魅力を非公式に発信するコーナーその3。由緒ある温泉街にて時代小説に思いを馳せる。
アクセス
鶴岡の市街地から国道345号線を7km程度南西に走り、湯田川温泉口交差点を左折すると見えてくる。ガソリンスタンドと郵便局が手前にあり、少し奥に公園と例の提灯がある。
宿泊する場合は各施設の駐車場に留められるが、今回のように公衆浴場の利用や観光目的で来る場合は、湯田川公園のところを左に曲がると公設駐車場があるのでそこに駐車できる。
撮影機材
メインカメラのZ7のバッテリーがなくなってしまったため、サブカメラのK-3IIIにLaowa 12mm F2.8を装着して撮影している。途中三脚撮影はSMC Pentax DA 35mm F2.8 Macroで撮っている。
サブと言いつつ結構いい仕事をしていたり。
このカメラで撮った写真
湯田川温泉(35mm F2.8)
湯田川温泉は鶴岡市街地からほど近い場所にある温泉街だ。巨大な提灯がトレードマークとなる。湯野浜温泉、温海温泉とともに庄内三名湯に数えられていて、2001年には「国民保養温泉地」として環境省から指定された名湯となる。
その歴史は庄内でも最も古く、なんと今から1300年前の和銅5年(西暦712年)にさかのぼる。あの日本史で出てくる日本最初の流通貨幣と言われる和同開珎の時代からあるという。ビスケットにたまに入っているアレだ。
傷を負った白鷺が傷を癒したという伝説があるそうな。まあ伝説ではあるものの、大変に由緒のある温泉であることは間違えない。それからかなり経って、酒井氏が庄内藩主になってからはこの湯田川を湯治場として定め、度々足を運んだのだという。
スナップ撮影(Laowa 12mm F2.8)
さて、日が暮れたので再度訪れてみる。先ほどの提灯がライトアップされている。この湯田川温泉は時代小説で有名な藤沢周平のゆかりの地だ。「隠し剣鬼の爪」や「武士の一分」は映画化もされたため、邦画ファンからはなかなか有名なのではないかと思う。
藤沢周平はペンネームなのだがこれは地名から取っていて、この湯田川温泉近傍に藤沢地区という集落がある。藤沢周平の奥様がこの藤沢の出身だったため、ここに由来している。
神奈川県民的には藤沢といえば「藤沢市」になるわけだが、実はこの鶴岡市の「藤沢」も由来があったりする。神奈川県藤沢市には時宗総本山の遊行寺があるのだが、ある時代の御上人様(宗主)が説法のためにはるばるこの地までやってきて、ここで亡くなってしまった。
その出来事から、御上人様が寂しがることのないように「藤沢」に地名を変えたのだという。
この湯田川温泉は昔ながらの温泉郷で、娯楽施設の類はまったくない正統派の温泉街になる。地形的には袋小路(行き止まり)になっているためこじんまりとしているが、だがそれがいい。目的がないとわざわざ訪れない場所なので、アクセスの良さの割にちょっとした秘境感がある。
観光やアクティビティを楽しみたい人よりは、温泉や宿でゆったりした時間を過ごしたい向けの場所かもしれない。とはいえ市街地からは近いので、車があればすぐ観光や買い出しは行ける場所にはある。
温泉街にコンビニはないが唯一「ぱろす湯田川」という売店があり、ここでお酒やお土産などを入手する。なかなか雰囲気がよく旅情を味わえる。
三脚撮影(DA 35mm F2.8)
日暮れ後の温泉街。こちらは35mmに変えてAPS-C換算52.5mm画角で撮ったもの。こじんまりとして静かな場所だが雰囲気はいい。ちょっと通な外国人の方もいらっしゃるようだ。なお温泉宿以外にも公衆浴場が2カ所あり、他所から訪れて入浴することもできる。
街灯が強すぎるので本体内HDR撮影で光芒を抑えている。K-3IIIは一眼レフカメラなのでミラーショックが心配だったが、イメージに反して実用的で、手持ちでも使えることは昨日の善宝寺で確認している。これは三脚撮影なのでより安定する。
縦構図で撮った小路は雰囲気が良い。冬に訪れば雪化粧でさらに美しくなっていることだろう。
御殿山ホタルの里(Laowa 12mm F2.8)
この湯田川温泉では毎年6月下旬~7月上旬頃になるとホタルを鑑賞することができる。露出を上げて取っているので実際は暗い。奥にある水田の一帯にあるこのポイントから見ることができるらしいのだがいる気配はない。
この鶴岡弾丸ツアーは全行程とも雨予報だ。そして雨の日にホタルは出ない。オリチャーで来たので期待はしなかったがちょっと条件が悪かったか。
もうあきらめて帰ろうとしたとき、2枚目の写真のトラクターあたりが微妙に光っているような、光っていないような……。モニタを拡大表示して確認してみると、、
いるじゃん!マジか普通に飛んでるし!!
ここに居られる時間が残り30分弱しかなく、向こう側に行く道もまだ調べていない。どうするか迷ったのだが、もうこうなれば勢いだ。三脚とカメラを担いでここまで全力移動をすることに。
10分後、例のトラクターの場所にて。あまり時間がなかったのでかろうじて取れたのはこの2枚のみだ。一応多重露出(比較明合成)で重ねてはいるのだが、星やホタルになってくるとそろそろレタッチかな。
ポイントがズレたのはホタルの種類が違うからだ。地元の方曰く、ここはゲンジボタルとヘイケボタルが生息しているそうで、ゲンジボタルの方が早いらしい。今は7月なのでヘイケボタルの方が優勢で、それゆえ棲息地が奥の方に移動しているとのことだ。
翌朝(Laowa 12mm F2.8)
翌日の早朝時間帯となる。超広角レンズの開放感はこうした開けた場所で威力を発揮する。ちぎれた雲が四隅に流れていくさまが美しい。
こうした宿やホテルの早朝時間帯の独特の雰囲気は非日常感があって好きだ。宿の従業員も起きていない静寂の世界がもうすぐ終わり、一日が始まろうかという独特の間。日の出の長いこの時期ならではのもので、泊まらないと味わうことができない。藤沢周平の心象風景を垣間見た気がした。
前振りをしておいてアレだが、実は湯田川温泉は泊まったことがない。先に述べた通り、母の実家からママチャリを根性漕ぎして一山越えてきているためだ。汗かきまくりで風情もヘッタクレもない。公衆浴場で汗を流して帰ったが、結局戻った頃にはまた汗をかいてしまった。意味ねえw
しかし諸事情あり、これができるのも今回が最後かもしれない。もしそうなったら、その時は止まってみようかな。
リンク
2024年鶴岡旅のリンクはコチラから。
コメント