スペック
ブランド | ダイムラー・ベンツ | メーカー | ノレブ(NOREV) |
車種 | Sクラス | スケール | 1/18 |
世代 | W140(3代目) | カラー | グレー |
年代 | 1991年~1998年 | 寸法 | 長さ28.8×幅10.2(実寸) |
おすすめ度 | ★★★★(4.0) | 重量 | 1022g(実寸) |
どんなモデル?
ダイムラー・ベンツの誇るフラッグシップモデル、Sクラスの3代目である。四角く角ばったデザインが印象的だが、なかなかに逸話が多く、時代考証的も興味深いクルマである。
時は1987年。ライバルのBMWがフラッグシップセダン750iを発表。ドイツ車として初となるV12気筒の5リッターSOHCユニットを搭載した750iは市場で高評価を得たため、当時のダイムラー・ベンツは対抗となる新型フラッグシップセダンの開発を余儀なくされる。
…という経緯で誕生したのがこのクルマであり、「最善か無か」を体現した最後のSクラスとも評される。このW140をノレブは1/18スケールでモデルアップ。人気車種故かカラーバリエーションがかなり多いが、ここはW222と同じグレーメタリックをチョイスした。
ディティール
全体像
先代のW126より武骨な雰囲気でかなり大きい。実車において全長で100mm、全幅で65mm、全高で50-60mmボディは大型化している。これは後述するV12エンジンの搭載に伴うものであるが、賛否両論であり、「環境破壊車」と揶揄されたことからも物議を醸したようだ。
この四角いフォルムはフレーム構造によるところもあるが、衝突安全性や空力特性を考慮された最近のセダンとは設計思想がそもそも異なるためだ。ミニカーは手に取って全体を眺めることができるので、現代のクルマとは全く異質な造形に驚く。まるで黒板消しのようだ。
フロントビュー
ノーズが傾斜してせり出したデザイン(スラントノーズ)が特徴的で「押し出しが強い」と評される。クラシカルなW126に比べると力強い印象がある。またウインカーレンズはアンバー色からクリアーに変更になったこともコワモテっぽく見える一因か。よく見るとワイパーも付いている。
この顔はヨーロッパは言うに及ばず、アメリカをして「威圧的すぎる」と言わしめたほどで、あまりに人気が出なかったそうだ。ところが日本ではこの押し出しの強さが受けて売行は好調だったという。この人気は後継のS220が発売した後もしばらく続くことになった。
ゆえに90年代の少年漫画や青年漫画では度々描かれることが多く、ベンツ=893とか、ベンツといえばこの車種を思い浮かべる人は多いんじゃなかろうか。
リアビュー
四角いボディデザインもさることながら、昔ながらフレーム構造なのでシャシーが張り出しており、タクシー感がある。トランク開けると口にガムテープを貼られた人質が入ってそう(うそ)
しかしテールランプ形状が変更されており、三 三 のスタイルとなり、かなりすっきりした。この形状は好評だったのか、後継のW220、W221へと受け継がれていく。
コックピット・エンジンルーム
例のV12エンジンが搭載されている。大型化した車体は出力408ps/5987cc/V12気筒DOHC4バルブエンジンを搭載できる強度を持つシャーシとボディが不可欠だったため。そりゃーでかくなるわ…。
「最善か無か」の精神が形になったかのようなダイムラー・ベンツ渾身の力作であったが、セダンとしてはこれはオーバースペックすぎたらしく、環境保護団体から大ブーイングを買うことになった。
ボンネットを支えるためにつまようじをぶっ刺してあるのは内緒(笑) 丁度縫い針がなかったもので。
まとめ
W140(左)とW222(右)の比較。車種として3世代、時代にして約20年飛んでいるため、さすがに隔世感がある。ガンダムの世界でモビルスーツの技術的進歩が早すぎるのはよくツッコミが入るのだけど、現実世界のクルマの技術的進歩のスピードを見るに割とまんざらでもないのが恐ろしい。
しかしよく見るとパーツ形状や配置に名残が見られ、「このデザインが技術的進歩や環境的要求を受けた結果、この形になったのか」という納得感や安心感がある。
これは同じカラーリングなのと、エンブレムのせいだろと思いきや、デザイン上の共通項や哲学が一貫しているので世代を隔てても同じシリーズなのだと分かる。こういうところは面白い。
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