シグマの名玉。誰もが認める超絶画質の神レンズ。
スペック
焦点距離 | 35mm | レンズ構成 | 11群13枚 |
最小絞り | F1.4 | 絞り羽根枚数 | 9枚(円形絞り) |
最大絞り | F16 | 寸法 | 約77mm × 94mm |
最短撮影距離 | 30cm(撮影倍率0.19倍) | 重量 | 約670g |
フォーマット | フルサイズ | フィルター径 | 67mm |
Artライン 第1号機
各種レビューや海外フォーラムなど各所で神レンズと絶賛された逸品。シグマの新機軸「artライン」の記念すべき第1号機であり、その名に違わぬ実力を存分に発揮し、シグマ驚異のメカニズムを世界に知らしめた名玉。
このレンズの存在は知っていたが、既にAF Nikkor 35mm F2Dがあるので静観していた。しかしこの間の実家に眠っていたNikon AF-S NIKKOR 24mm f/1.4G ED の画質に心が動き、35mmもそろそろ更新するかと思っていたところ、オクでよさげなものがあったので入手した。
兄弟機 30mm F1.4 DC HSM Art
APS-C専用の SIGMA 30mm F1.4 DC HSM Art は既に紹介したが、こちらはフルサイズモデルで名実ともにに兄貴分といったところ。重くてデカい高い分画質は折り紙付きとなる。
焦点距離が5mmしか違わないが、イメージサークルが違うため実際には運用方法は異なる。30mmはAPS-C機専用のため実質的には45mmの画角となる。こちらはフルサイズ機で使うと額面通り35mmの画角となる。
他方APS-C機につける方法もあり、その場合の実質焦点距離52.5mmと似通ったものになるが、兄貴分のこちらの方が当然画質がいい。しかし重さと価格が2倍くらいあるので30mmの扱いやすさもなかなか捨てがたい。
ニコンD800に装着
この間紹介した純正24mm F1.4Gとサイズ感・重量はほぼ同じ。フルサイズボディにベストマッチするサイズ感。カメラ+レンズで1700g程度あるが、重心バランスや取り回しがいいので作業性は良好。やはりカメラはこのくらいの大きさが入るとが写欲が俄然湧いてくる。
入手方法(2023.5)
発売から10年経つ一眼レフ用のレンズだが現在も新品で入手可能。Amazon、楽天、Yahoo!のネットショップはもちろん、家電量販店でも売っている。
このレンズで撮った写真
まずは収差のチェックから。
撮って出しでほぼ歪曲収差がない。イメージサークルの大きいフルサイズで、しかもF1.4通しのレンズでこれは素晴らしい。歪みねぇな。
横浜 野毛町
と思いきや安定の飲み屋街である。恵まれたレンズから……みたいな作例とか言わない(泣)
メイン通り。「ちぇるる野毛」のある交差点から並木橋までのエリアが野毛町となる。飲食店は北側(桜木町側)に多くこちらの方が人通りが多い。南側(宮川町側)はホテルや風俗店などもあってまた少し色が違うが飲食店もあり、これらまとめて野毛町とされることが多い。
F1.4の明るさとISO200くらいで撮れてしまうこともある。ボケが豊かな一方で絞るとさらに解像度が増すため絞り値と感度の調整が結構忙しい。レンズが高性能なあまりできることが多すぎて適切な露出合わせに苦労する。
甲乙の付け難かった二枚。大人げない性格なので迷ったときは両方ともあげてしまうことにする。これができるのはブログのいいところ。
和風のお店もあり外国人観光客に人気らしい。野毛町は戦後米軍に接収されその後闇市として栄えた場所なので、歴史的にも切っても切れない関係がある。野毛坂にある横浜市中央図書館ではたまに当時の歴史資料を特集してくれることがあり、非常に勉強になる。
こういった光源を入れた被写体は逆光性能が低いとフレアやゴーストが出たり眠くなってしまうことも多いが、このレンズはここもばっちりで、見たままに近いクリアでシャープな絵を切り取れる。
老舗のジャズ喫茶。野毛にはミュージックバーやジャズ喫茶が数多くあるので下戸でお酒が飲めない人はコーヒーを楽しむという方法もある。
大貫カメラ
平戸桜木道路(県道218号)沿い、ウインズの逆サイド側にある老舗カメラ店。吉田町にあったレモンカメラが撤退したため、野毛桜木町界隈のカメラ店はここのみ。
オールドレンズやフィルムカメラも扱う貴重なお店で、ここだけの話ブログで紹介しているレンズも結構このお店で買ったものもある。AF Nikkor 35-70 F2.8Dは10年以上付き合いがあり、愛着がある。
大岡川方面
「お笑い大明神」という謎オブジェがあったので何気なく撮ってみたら、画質がえげつなかった。
これまで夜景スナップを作例として何回か載せているが、その中でも出色のレンズと思う。F1.4から解像し、ゴーストフレアも抑えられるため抜けのいいクリアな描写が得られる。ニコン純正ナノクリ単焦点と比べても遜色ない。
吉田町
野毛町から都橋を渡って伊勢佐木町方面(関内方面)に歩くと吉田町。この辺は野毛町・宮川町とはまた毛色が変わり、画廊などもある。裏に入ると韓国人街で、韓国料理屋や食材屋があり、ディープな世界が広がっている。
遠景
遠景についてはニコン純正ナノクリ単焦点とほぼ同等。1/30秒、絞りF1.4、ISO3200という常用レベルでの露出がこんな感じで、これでも余力はあるのでその気になればさらにもういくつか上げられる。手持ちでこれだけ明るく写ってくれればまあ十分なのでは。
三菱ドッグ踏切。夜景を手持ちで撮影したいなら、F値を下げて物理で殴ればいいのだが、三脚なんて必要ねえんだよ!!と言わんばかりの解像度の暴力は本当に頼もしい。ほとんど反則に近い。
まとめ
このレンズはニコンやキヤノン、ソニーなどの名だたる純正35mm F1.4を凌駕した画質を持つとの前評判があり、それでいて純正の半額という凄まじいコストパフォーマンスを誇るため、期待値は上がっていたのだが…、
期待値以上の結果となった。これはマジで素晴らしいレンズ。絞り開放から既にシャープで、一段絞ってF2にすると周辺も大幅に改善し、F4程度まで上げるとキレキレシャープな画質になる。FTZを嚙ませればZマウントにも使えるし、また十分通用する画質。
シグマということで前ピンや後ピンを懸念していたが、この個体はジャスピンで問題ない。(むしろ純正24mm F1.4が前ピンで困っているという)これで中古4万円は安すぎる。
後継品
このレンズは今でも十分すぎる画質を持つが2023年現在では旧型となっており、ミラーレス機に最適化された新型が出ている。これらが世に出た現在となっては、本レンズですら描写が甘い扱いされることがあり、ミラーレス以後のレンズ性能のインフレがいかに著しいものかがわかる。
SIGMA 35mm F1.4 DG DN
本レンズの純粋な後継機はこれ。新型であるが全体は小型化している。ソニーEマウント、ライカLマウント用が出ているが、ニコンZマウントは2023年3月時点では未発売。
SIGMA 35mm F1.2 DG DN
F1.2のやべーやつ。何がやばいってF1.2からすでに解像してるのがやばい。昔のF1.2とは全くの別物。
余談になるが、ソニーには高感度撮影最強の α7S III という機種があり、これはフルサイズセンサーのくせに画素数たった1,210万しかない異端のデジカメ。(ただしこのブログでも示した通り、ブログや動画であれば1,000万画素もあれば足りるので実用的なチューンナップではある。)
F1.2絞り開放からカリカリシャープであろうこのレンズとの組み合わせでどんな夜景が撮れるのかはちょっと興味がある。
NIKKOR Z 35mm f1.8 S
ニコン純正からはZマウント用にこのレンズが出ている。フランジバックの短さと大口径マウントを最大限生かした光学設計がなされており、兄弟機の50mm F1.8Sのスペックに準ずるならば、おそらく本レンズよりもさらに性能が高いと思われる。
他方こちらはF1.4まで使えることや、FマウントZマウントどちらも使える汎用性の高さ、人気レンズ故の中古価格の安さが魅力となり、なかなか甲乙つけ難い。
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