撮り比べ企画のために用意した中古レンズ。味も見ておこう。
スペック
焦点距離 | 50mm | レンズ構成 | 6群7枚 |
最小絞り | F1.8 | 絞り羽根枚数 | 7枚(円形絞り) |
最大絞り | F16 | 寸法 | 約72mm×52.5mm |
最短撮影距離 | 45cm | 重量 | 約185g |
フォーマット | フルサイズ | フィルター径 | 58mm |
どんなレンズ?
Fマウント時代のニコンの50mm単焦点レンズでいわゆる巻き餌レンズ。50mm F1.8のレンズはシェア拡大のため価格設定を安価にすることが多いためこのように言われる。特にキヤノンが有名で、ライバルのニコンもキヤノン程ではないがそれなりに安い。
実はもう持っているレンズ。左が今回入手した通常版で、右はもともと持っていた復刻版となる。D200とS5 Proの撮り比べの際にいちいちレンズを取り外すのが面倒になり、同じスペックのレンズがもう一本必要となったことから入手。
そんなわけでスペック的にはダブりになるのだが、このレンズは巻き餌レンズのために安価でよく写り、しかもデザインが複数あるため、お誂え向きといえる。
ニコンZ7に装着
FTZを介してニコンZ7に装着。このレンズは軽い(180g)のでこうしたスナップ用途に最適。
FTZは底部にデッパリがあるため平置きできない弱点があるが、これはSmallrigのボトムブラケットや、ハーフレザーケースを用いて上げ底をすることで解決する。この記事にて取り上げている。
小細工するのがイヤならばデッパリ(三脚座)のないFTZ IIに買い替えてしまおう。ただ、レンズとしては安いがマウントアダプタとしては高い微妙な価格ではある。これでもメーカーとしてはほぼ利益が出ないであろう良心的価格設定なのはわかるのだが…。
このレンズで撮った写真
一度この回で既に紹介済のレンズではあるものの、上記のようにこれは別個体になる。新しいレンズを入手すると無条件で試し撮りしたくなってしまうのは性分だ。というわけで味もみておこう。
新丸子駅周辺
東急東横線新丸子駅。横浜方面から見ると武蔵小杉の次だ。急行や通勤特急などの乗っていると各駅しか止まらないのであまり印象に残らない駅……とか思っている人は田舎者と思われる(ギクッ)
実際スルーされがちではあるが降りてみるとのなかなか見どころのある駅で……。
まず武蔵小杉駅とめっちゃ近い。この写真で遠くに見えている赤信号を渡るともう武蔵小杉駅だ。
この近さは、新橋駅─有楽町駅とか、渋谷駅─神泉駅、登戸駅─向ヶ丘遊園駅みたいな感覚がある。そんなつもりもないのにうっかり歩いてしまう距離感だ。しかしながら新丸子─武蔵小杉は登戸─向ヶ丘遊園のように微妙に直線移動しづらいといった問題もなく、完全に一本道となる。
こんなに近いんじゃ存在意義がよくわからないよと思うかもしれないが、実は新丸子駅の方が歴史が古い。新丸子駅は東横線開業当時(1926年:震災の翌年)からある古参駅で、渋沢栄一がまだ存命の時代だ。炭次郎が鬼退治してからまだ10年位しか経っていない。
武蔵小杉駅はJR南武線との交点にあった停留場がルーツで、駅に昇格したのは1944年、一般旅客駅になったのは1947年(戦後)になるので大分後だ。今でこそ最強伝説だ何だとブイブイいわしているが、新丸子駅に「さん」付けするべきデコスケ野郎は実は武蔵小杉駅である。
東横線ガード下
その新丸子駅だが工業地帯に位置する古参駅だけあって飲食店がそこそこ充実している。
ガード下は補強・再開発工事がなされ2019年にグルメストリートとしてリニューアルされている。既存のお店と合わせるとなかなかの繁華街ぶりでリトル有楽町みたいな雰囲気があり、そのまま小杉まで歩いて帰れるので実際便利。
いやーこれもしかして、いやもしかしなくても「ブスバー」って書いてあるなぁこれ。ちょっと聞きなれない言葉だったもので筆者の薄い脳内辞書で検索してみたところ、、
①配電盤や制御盤に電源を各部分に接続する導体棒のことを指す。導電性の高い銅などで作られている太い幹線のことで、うかつに触ったら氏ぬので気を付けよう。ブレーカー断確認ヨシ!
②機動戦士ガンダムF91の背面に取り付けられたビーム兵器。貫通力の高いビームと破壊面積が大きいビームを撃ち分けることができるが、出力が大きすぎて小回りが利かず使いづらい。
…コメントしづらいためむりやりボケてみたけどこれが限界でした(ごめんなさい)
とにもかくにも名前のインパクトがすごいお店。思わず三度見した挙句その場でググってしまった。このお店で美人が出てきたら景品表示法違反になる説が有力です。
JR南武線ガード下
南武線のガード下へ渡ると東急東横線 武蔵小杉駅の出るのだが、溝の口の聖地(サンクチュアリ)「たまい」がここにもある。天体戦士サンレッドにも出てくるお店で、劇中で看板メニューの金運つくねを食べているシーンがある。
武蔵小杉駅周辺
「たまい」のあるガード下を抜けて少し歩くと東急東横線の武蔵小杉駅となる。この世における最強伝説は3つあり、ひとつはOpera最強伝説、もうひとつがギコナビ最強伝説、さらに最強伝説黒沢、そしてこの武蔵小杉最強伝説である。
武蔵小杉が最強と云われる由縁は
飛車角にあたる位置に新丸子と元住吉が構え
桂馬の如く働く武蔵新城そして歩兵の武蔵中原を並べ
更に歩以下の向河原で構える陣形こそ最強の由縁それが武蔵小杉最強伝説
これらは昔のネットスラングで、このコピペを見かけたのはJR横須賀線が乗入開始した2010年より前だったと記憶している。それから工場団地跡の再開発計画によってタワマンが林立し始め、地価も高騰して本当に最強になってしまった。
ちなみに、ギコナビとは2ch用専用ブラウザのひとつで2000年当時からある古いソフトとなる。少し前はJane Styleがシェア優勢だったが、2021年頃に色々すったもんだがあって使えなくなり、その難民がネット黎明期の専ブラに戻ってくるという現象が起こっている。
武蔵小杉駅の西口はいつもの「こういうのでいいんだよ」な街並みで居心地が良い。東急東横線は中目黒─学芸大学─自由が丘─武蔵小杉の打線が強力で、どこで降りても何かしらがあるのでカメラ的には本当美味しい街だと思う。
再開発地区
他方武蔵小杉には別の顔もある。それがこの再開発地区だ。前述のとおりNEC、不二サッシ、東京機械などの工場団地跡の一帯は、市街地再開発事業のもと特定地区として再開発されたエリアで、大型商業施設やタワーマンションが林立している地区になっている。
これにより西口の一部と東口一帯は生まれ変わったわけだが、再開発のお約束通り上級国民エリアになっており、筆者には縁のなさそうな場所が多いため少々居心地が悪い。一棟一棟の建物が大きいのでもはや50mmでは全景が入りきらない。
武蔵小杉駅東口
こちらは東急東横線の東口のエリア。JR武蔵小杉駅の駅舎がある。通勤時間帯における東急東横線とJRの乗り換えラッシュは名物になっている。横須賀線(湘南新宿ライン)のホーム位置が結構無理があるため、そこから東急東横線まで乗り換えると軽くマラソンになる。
ここで少しレンズの話を。前回東神奈川で撮った時も思ったことだが、このレンズは信頼性が高い。AFが速くて正確で、歪曲収差やパープルフリンジが出にくく、jpg撮って出しでも問題が少ない絵が上がってくるのでぱっと見の印象が良く使いやすい。
F2.8で撮ってもカリカリシャープとはならないが、適度に柔らかく色乗りもよいためZ7のような高画素機でも十分使用に堪え、何となくマイルドでいい感じになる。解像度の高いレンズ=使いやすいレンズとは限らず、このレンズはそのいい見本と言える。
中原街道
グランツリー武蔵小杉を通り抜けた先は綱島街道の交差点。奥に見えるのはNECのビルだ。この通りをまっすぐ行くと向河原駅で、この駅はNEC玉川事業場が隣接されていて専用改札もある。
ボイラー技士免許を取った時の実地講習をこの辺で受けた記憶がある。再開発で工場ごと設備がなくなったからか、最近はみなとみらいのDHC(地域熱供給)で行うようだ。あれは2月の寒い雪の日で、石油ストーブの匂いが印象的だった。もう10年前くらいの話だ。
入手方法
ネットショップはもちろん、その辺の中古カメラ店によく売っている。もともと巻き餌レンズで安価な上に玉数も多いので中古カメラ屋の常連になっているレンズだが、軽くて安くてよく写る上にマウントやセンサーサイズを選ばないので1本持っておくと便利。
またデザイン違いでAF-S Nikkor 50mm F1.8G SPというものがある。これは2013年にNIKON DFが発売された際のキットレンズとして復刻デザインになっているバージョン。筆者は今までコチラを使っていた。金色がイヤな人はこちらも使うのも吉。ほんの少しだけ高いのがネック。
まとめ
今となっては旧型のレンズではあるものの、安価で軽くて扱いやすいので結構気に入っているレンズ。たかが旧型の巻き餌レンズと軽く見ていると損をする。
多少絞っているのもあるがパープルフリンジが乗りづらいのがよい。ペンタックスFA31mm F1.8やFA50mm F1.4だと一段二段絞っても乗るので、後処理で直せるRAWはともかくjpg撮って出しだといかんともしがたい場面も多い。
その点このレンズは割と安定している。夜景スナップはフリンジがガッツリ目立つシチュエーションが多いが、これだけ軽くてこれだけ抑えられるのはマジで優秀。シグマ50mm F1.4 HSM Artが810gで、重量差640gならコッチにしておくか……となる場面も多い。
関連商品
ニコン用の50mm単焦点をいくつかピックアップ。基本的は現行のNIKKOR Z 50mm F1.8 Sを買えば済むことなのだが、旧来のFマウントで遊びたい人は別に用意する必要がある。
「D200でもZ7でも使える最強の50mm」は存在しないため、選択肢がいくつかあるのが面白い。
NIKKOR Z 50mm F1.8 S
大正義 Z50mm F1.8。Zマウントしか使わない人はこれが一番いい。写りについては他所様のレビューでわかる通り非の打ちようがない。
加えて素晴らしいのはフォーカスブリージングが抑制されていて動画用レンズとしても優れている点。解放F1.8から四隅まで良好な点も合わせ、AFや動画機能の強化されたZ9・Z8と組み合わせてシネレンズ的な使い方も可能。これはFマウント時代のレンズでは無理だ。
無理矢理欠点を上げるとすればデザインがイマイチカッコよくない点。Z6・Z7と組み合わせたときの恰好が正直言ってダサい。そして金属鏡胴なので傷に気を遣う。ご丁寧にローレット部分まで金属なので適当にカバンに放り込むと塗装ハゲや小傷が付きやすい。
そろそろ買おうかな…と思いつつ筆者は旧型(純正50mm F1.8G)やシグマ50mm F1.4 HSM Artがあるのでまだ買っていない。でもニコンは定期的に値上げしそうだし、Zfに似合う復刻デザインモデルも出なさそうなのでそろそろ買ってしまうかもしれん。
SIGMA 50mm F1.4 DG HSM Art
シグマArtシリーズの初号機。SIGMA Artシリーズの先駆けともいえる50mm F1.4 EX DG HSMの正統進化版。「シグマArt 強し」を世間に知らしめシグマの名声を高めるに至ったレンズ。もちろん現在でも50mmとして申し分ない写り。
このレンズのいいところは汎用性の高さだ。機械絞り(絞りレバー)を搭載しているためD200でもZ7でも使えてしかも開放1.4から解像するので使い勝手がとても良い。ただし重さが810gと少々大きく重たいので軽い50mmと使い分けるのも良い。
2024年現在の現行レンズに比べると四隅の甘さが多少あるが、個人的には許容範囲内でむしろ好きかも。このレンズで足りなければシグマ40mm F1.4か後述のオペラ50mm F1.4をおすすめする。
TOKINA Opera 50mm F1.4 FF
Opera最強伝説。(お前それ言いたかっただけじゃないかと)
上記SIGMA 50mm F1.4 HSM Artよりも新しいレンズで更に画質が向上している。Fマウントでの最強装備を揃えたければコイツとTAMRON SP 35mm F/1.4 Di USD (F045)にするとよい。ついでにSIGMA 85mm F1.4 HSM Artも行っちゃおうか。
その分重さもすさまじく圧巻の950gを誇る。一見すると鏡胴はスマートで着やせした印象があるが、その下にはガッツリ筋肉(ガラス)が詰まっている系のレンズ。鏡胴はラバーコーティングにより滑りにくく、形状もあって思ったよりも扱いやすい。
大事な点としては電磁絞りのためニコンEタイプ相当のレンズとなる点。よってD200やD80などのCCDセンサー機(いわゆるオールドデジカメ)では使用できない。上のタムロン35mm F1.4、シグマ85mm F1.4もまた同様。
また大人の事情になるがこのレンズは 風前の灯火の ペンタックスの魂が吹き込まれたレンズでもある。そんなわけでみなさん買ってくださいお願いします(懇願)
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