パガーニデザインのオマージュウォッチ。誰が読んだか「バットマン」。
スペック
年代 | 2023年頃? | ムーブメント | 自動巻き NH34 |
型番 | PD-1662 v4 | 精度 | +30秒程度 |
直径 | 42mm | 風防 | 両面AR サファイアガラス |
厚さ | 13mm | 防水 | 10気圧防水 |
ラグ幅 | 20mm | おすすめ度 | ★★★★(4.0) |
機能 | デイト GMT | 備考 | シースルーバック |
どんなモデル?
先に紹介したPagani design PD-1662の色違いのバージョン。
R社のGMT達人2はベゼルのカラーリングによって愛称があり、いずれも清涼飲料の名前が付いている。赤×青をペプシコーラ、赤×黒をコカコーラ、緑×黒をスプライト、茶×黒をルートビア(カフェオレ)と言ったりする。
そんなわけで青×黒は誰が読んだかバットマン。飲み物どこいった(笑)
このモデルはメルカリで入手したもので、通常モデルと違いNH34が搭載されたアップグレードモデルになっている。メルカリヤフオクは在庫がダブった業者が定期的に放流してくれるのでそこを見計らうと割安で購入できる。B品かどうかは不明だが特に不満(今のところ)ないです。
PD-1662 バージョンの話
パガーニデザインのGMT達人2はPD-1662という型番になるのだが、かなり頻繁にバージョンアップされている。初代はアルマイトベゼルだったが、v2になってセラミックベゼルにジュビリーブレスとなり、このv4では蓄光ベゼルと両面ARコーティングが採用された(v3はしらん)
ムーブメントは通常Pearl DG5833 GMTというものが使われているが、このモデルはアップグレード版でセイコー製外販用ムーブのNH34が採用されている。これによりムーブの信頼性が増しており、GMT針の時刻調整も簡単になっている。
このためスペック上は格上ブランドのSan martinやCronosを上回っている。サンマーティンやクロノスのGMT達人2はHangzhou 6460(杭州6460)を搭載しているが、搭載モデルのSN005Gが不調になったので信頼性はちょっと微妙な感じはある。
一応フォローしておくと、スイス製汎用ムーブのETA2824-2やセリタSW-200でもリューズ抜けはたまに出るので、中国製ムーブメントが微妙というわけではない。ただ6R15(あるいはNH34、NH35)などのセイコー製ムーブは筆者手持ちの時計ではこうした不良が出たことが無い。
国産信仰というわけではないが、汎用ムーブメントの品質についてはまだ少し差があるのかなと。
ディティール
ダイヤル
一見すると従来通りの風景だが、実はガラスがARコーティング(両面無反射コーティング)にアップデートされており、San MartinやSteeldiveと同様視認性が向上しており見やすくなっている。Pagani designもやるときはやる。
風防はベゼルに対してオフセット配置となる。リューズはいつものブランドロゴが刻まれる。余談だが、新品を買うとロゴに阻まれてブルーシールの除去になかなか苦労をする。
ベゼル
ベゼルは黒×青のバットマンスタイルとなっており、6:00~18:00を青、18:00~6:00を黒としている。青色はペプシ(青×赤)と同色だが、ペプシは18:00~6:00が青になるので、デフォルト位置だと下半分が青色となる形となり、また印象が異なる。
ブレスレット
いつものPagani Designの汎用オイスターブレスに見えるが、ここはなぜか退化している。
上がPD-1662 V1、下がV4となるが、V4のブレスの方がコラム(ネジ)が細いのである。ビスのようにヘッドとシャフトの太さが異なる仕様となっており、割ピン並の細さになっている。
Pagani designのブレスはSan MartinやCronos、904Lシールのオイスターブレスに比べるとネジのコラムが少し短く、コマ同士の干渉が渋いこともあり、品質的には若干後れを取るという程度だ。しかしコラムの太さ自体は同じだったため、あまりシャリシャリ感はしなかった。
ブレスレットのネジの太さが=品質というわけではないのだが、コラムの太さが細いと音鳴りや質感に影響してくるかもしれない。とはいえ表面の鏡面研磨仕上げは悪くなく、元が格安であることを考えると素晴らしいことには変わりはないのだが。
シースルーバック
ここは従来のPD-1662とは異なりNH34となっている。2枚目左側の時計がいつものPearl DG5833GMTで、右側の時計はNH34となる。後者の方がGMTの時刻設定はやりやすい。
メルセデスのAMGラインよろしく、見た目が同じでありながら中身(エンジン)が特別仕様というのはちょっとしたロマンがあり、「ザクとは違うのだよザクとは!」な気分になれる。
けどいかんせん絵面が地味w
従来ムーブメントのPearl DG5833GMTはネジがブルーだったり香箱車がレッドだったりと割と賑やかだったが、こちらはプレザージュに入っているいつものセイコー4Rムーブとほぼ変わらない。
夜光
こちらも通常のPD-1662とは異なっており、ベゼル:グリーン、ダイヤル:ブルーグリーンとなっている。視認性を重視したのか、はたまたコスト的な都合か、従来のスーパーブルーは使われていない。
Pagani Design公式?の画像だとベゼル:ブルーグリーン、ダイヤル:スーパーブルーだったが色が違う。同じような現象はSteeldiveにも見られたのでロットによるのかもしれない。
その代わり明るい。Pagani DesignのルミノバはSan MartinやCronos Watch、Steeldive、Spinnakerに比べると一歩及ばないのだが、このモデルのダイヤルはそれと互角だ。ベゼルは多少暗いのだけど。
San Martin SN015との比較
GMT達人2のオマージュモデルとしては傑作機のSan Martin SN015とのショット。両者なかなかの面構えで絵になる一枚。
決定的に異なるポイントはベゼル・ガラスで、サンマーティンはベゼル形状はフラットまたはホローで、ガラスは縁が露出している。対してパガーニデザインはベゼル形状がコンベックス(蛤状)でガラスはオフセットになっており、この分だけベゼルが若干厚い。
そしてサンマーティンのベゼルは両回転の24クリック(本家と同様)になっているが、パガーニデザインのベゼルは逆回転防止の120クリック(潜水艦モデルの流用品)となっており、まだ差がある。
レプリカとしての忠実性、時計としての総合的な完成度はまだサンマーティンに及ばない。しかしパガーニデザインもNH35ムーブメント、ARコーティングガラス、蓄光ベゼルの採用と順調にアップデートを繰り返しており、振り向けばもうすぐのところまで来ている。
夜光はダイヤルについてはサンマーティンとほぼ互角の輝度で塗りムラもない。しかしベゼルは発光色が異なるグリーンで輝度も若干低い。ベゼルはダイヤルと同じブルーグリーンのものを採用してほしかったところ。ここはちょっと惜しかったかな。
歴代PD-1662との比較
v2(ルートビア)、v1(ペプシ)、v4(バットマン)のショット。これまたスゴイ絵面。
こうして並べてみるとアップデートの歴史を感じ取れると共に、それぞれ違った魅力がある。v1のアルミベゼルは経年に伴い退色していく仕様で、gmt達人2のファンにはこれを好む人もいる。
本家でこれをやるのははばかるという人も、レプリカなら気兼ねなくできるので使いやすいかもしれない。現行のPD-1662はセラミックベゼルに仕様変更されてしまったが、T社黒港ベースのPD-1706はアルミベゼルなので経年変化を楽しめる。
入手方法(※アリエク)
(※画像から商品ページへ飛べます)
このモデルは一種のカスタムモデルになるのでアリエクで入手可能。Pearl DG5833GMT搭載の通常版はAmazonや楽天でも入手可能だが、このモデルはバージョンが複数あるのでよく調べて買った方がいい。バージョン表記に関しては公式サイトやアリエクの方が確実だろう。
ヤフオクやメルカリでも入手可能だが確実に入手したいならやっぱりアリエクかな。
まとめ
パガーニデザインのPD-1662はアップデートを行うごとに着実に品質が向上していて、ベゼルと外装仕上げ部分以外はほぼSan martinやCronos Watchと互角のクオリティまで来ている。ムーブメントはNH-34なのでもはやコチラが上となる。
さすがに外装やブレスレットのクオリティについてはまだ及ばないものの、これは相手が悪いだけで決して低くはない。しかしこの時点で既に、数倍の価格差がある国産品のセイコープレザージュやオリエントスターではもう勝てないレベル。割ピンではなぁ!
唯一ベゼルだけ、潜水艦モデル流用品の逆回転防止付き120クリックとなっていて、ベゼルとインデックスの蓄光色が異なる点はやや気にはなるが、それも結局人によるし、ケチをつけられるポイントはもはやそのくらいしかない。v5でほぼ完全体になるのかな。乞うご期待。
コメント