blueと申します。ブログを再開しました。休止していた間にコロナとか色々ありましたが、気が付いたら時計がゴロゴロたまっていたのでしばらくはこのネタで行きたいと思います。
…というわけで中華時計の概要についてまとめてみました。
中華時計の魅力
何と言っても圧倒的コストパフォーマンス。これスイスで作ったらいくらすんのさ?というクオリティの時計が中国驚異のメカニズムにより数万円で買えてしまう。
まあ安いということはつまりそういうことではあるのだが、しかしながら時計好きが唸るツボやポイントはしっかりと押さえており、オタクの物欲や好奇心をグイグイ刺激する。
腕時計のくせに中毒性があることでも有名で、興味本位で手を出したが最後、ハートをガッチリ掴んで離さない。
ロマンはわかったけど実際どうなの?
中古品含め25本以上入手してきたが、即ぶっ壊れて使えない、みたいなのは今までなかった。実用品として十分使えるレベル。
質感についても悪くなく、最近出ているものはサファイアガラスが標準装備となっているため、傷が付きにくいのはうれしいところ。
ただ中華時計にはブランドが無数にあってピンからキリまであって、極端に安かったり謎ムーブメントが乗ってるような時計はちょっとわからない。爆発は…しないと思う。
どんな特徴があるの?
中華時計は時期によって流行っている作風やジャンルが若干違っている。このブログでは便宜上「クラシック系」と「ダイバース系」に分類することにする。
クラシック系
ホワイトエナメルやギョーシェなどのダイヤルに、ブレゲ針やリーフ針をあしらった伝統的デザインの時計。日本では2006年くらいから時計好きの間で認知され始め、特にビーバレルというブランドが有名。現在は活動停止してしまったものの、中華時計というジャンルの火付け役となる。
クラシック系の時計は本場スイスの一流ブランドとなるととても高価で買えないが、中華時計であれば現実的価格帯であるため実際に手に取ることもできる。時計好きが唸るディティールやギミックなどが盛り込まれており、一部のモデルには複雑機構を搭載したものもある。
特徴としては以下の通りとなる。
〇クラシカルなデザイン
〇ムーブメントの見どころが多い
×修理してもらう場合はやってくれる時計屋さんを探す必要あり
×トゥールビヨンは壊れると修理代がものすごく高い
長所
時計好きも唸るクラシカルな外観が特徴。ムーブメントには懐中時計用手巻きムーブやピラーホイール式クロノグラフムーブなど趣味性の高いものが用いられることが多く、果てにはまともに作ればウン百万コースのトゥールビヨンまで搭載されているものまである。
デザイン的にはA社やB社のクラシックモデルの他、I社のパイロットモデルのオマージュなどがある。良い点は手巻き式が多く使ってて楽しいこと、ムーブメントの見どころが多い。
短所
悪い点は故障や修理するときにちょっと困るところ。基本売り切りスタイルなのでやってくれるお店を探す必要がある。トゥールビヨンとかどうするんだろうね。ただし中華茄子(ユニタスコピー)ならどこでもやってくれるのでガシガシ使えるけど。
これらの時計はムーブメントが本体なのでケース形状やダイヤル、レザーバンドなどは価格なりとなることが多い。レザーバンドは交換可能ではあるが別途費用ががかかるともいえる。もし変えるならアリゲーターレザーのものがよいだろう。
そんなわけで生産コスト(=販売価格)が安く、実用的で修理対応も比較的楽なダイバース系の方がメインストリームが移りつつある。
代表的なブランド
まずは何はなくともビーバレル。フランク三浦やロベルタスカルパなどで知られるディンクスが手掛けていたブランドで、日本における中華時計ブームの先駆け・火付け役となった。ただし現在はブランドを休止しており中古品のみとなる。
特に2000年代後半のモデルの評価が高く「シンプル北京」で知られるBB0038、「シンプル天津」BB0035・BB0036、トゥールビヨンモデルのBB555などはオクでも高値が付く。
現在はシーガル(Seagull:海鴎)が有名。ここは上記ビーバレルにムーブメントを供給していたメーカーで中国のセイコーポジションの会社。他にはSUGESSも有名でシーガル製クロノグラフを積んだ時計などを製造している。いずれもビーバレル難民ご用達。
変わりどころではLOBINNIがある。ここはマイクロローターを搭載したモデルが一見の価値あり。Aesopは激安トゥールビヨンを作っている。品質はわからないがいわゆる「もどき」ではなくシーガル製トゥールビヨンムーブを積んでいるいるので比較的まとも。
ダイバース系(オマージュ系)
分厚いケースやガラスを用いて耐圧性能を高め、残り時間確認用の回転式ベゼルを備えた潜水用の時計。こちらは最近(2020年前後)から海外で流行し始めたようで中国の会社が作っているらしい。主にアリエク(AliExpress)で売っているがAmazonで買えるモデルもある。
デザイン的にはR社やS社、O社などのダイバースモデルの他、フィールドモデルやスポーツモデルオマージュが多いが、かなり多くのメーカーが製造しておりそのクオリティは概ね価格に比例する。
また味付けも様々で、本家を忠実に再現しているメーカー、改良やアレンジを加えるメーカー、お遊びに走るメーカーなどバリエーションに富んでいる。特徴としては以下の通り。
〇外装パーツのグレードが高い
〇ムーブメントが壊れにくく、壊れても修理可能なので実用的。
×耐圧性能の信頼性は微妙
×デザインがモロパクリなので好き嫌いが別れる
長所
ダイバース系のよいところは品質の安定性が高い点。ブレスやケース、ガラスなどの外装パーツは、エボージュのように半規格化されているため価格に比べ高品質であり、特に回転式ベゼルはセラミック製のものが標準となっている。
ムーブメントもM社やS社の汎用ムーブが使われているため信頼性が高い。前述のクラシック系がシーガルなどの海外製ムーブメントが使われており、複雑なムーブも多いため信頼性や修理対応の敷居の高さがあったが、こちらのダイバース系はそうした不安が少ないのがメリット。
もし壊れたとしても街の時計屋でも入手可能なので修理対応もしてもらえる。ブレスレットは当然として、ガラス、ダイヤル、針などパーツ単体で入手可能なので腕に自信があれば自前で修理やカスタムすら可能。
短所
まず耐圧性能については正直微妙。汎用ケースに汎用ムーブメントを入れて作っているのでちょっと怪しいかもしれない。潜水士やダイビングなどのガチ使用をする場合はそこそこの価格帯のものか、国産やスイス製の方がいいかも。日常強化防水(10気圧)くらいに考えよう。
またデザインが良く言えばオマージュ、悪く言えばパクリが多い。そういうのを気にしない人、楽しめる人向けと言える。リーバイス501に対するレプリカジーンズとか、コルトガバメントに対するクローンモデルみたいなノリなので、本家やパテントを意識する人には向かない。
まあ今日腕時計を付けてない人やスマートウォッチの人はたくさんいるし、ブランド信仰やステータスなんて微塵も興味ないような、良くも悪くも時計オタク向けの時計といえる。高い時計付ければ偉くなれる人生ならはじめから苦労なんてないだろう。
代表的なブランド
まず有名なのはパガーニデザイン(Pagani design)。ここは安価でカラーバリエーションが多いのが良い。定期的にバージョンのアップデートを繰り返して品質向上に努めており、古いバージョンもアリエクのセールで払い出しているので印象が良い。
Steeldive・Addiesdiveもそこそこ安価で夜光が明るめで気に入っている。あまりレプリカ性を追及してないブランドで実用本位の作りとなっている。ダイバースモデルについては汎用ブレスレットを別のものを流用するとさらにいい感じになる。
少し高くなるがサンマーティン(San martin)、クロノスウォッチ(Cronos watch)は本家と見紛うばかりの非常にレベルの高い時計を作ってくる。目の肥えた時計ファンでも思わず唸る出来なのでこれらの時計はぜひ一度手に取ってほしい。
ダイバース系ウォッチは正直ケースとムーブがあれば誰でも作れてしまうため、オマージュブランドは中国に限らずそれこそ星の数ほどある。マイクロウォッチブランドと呼ばれるものがそれで、ヨーロッパでは割と流行っているようだ。
中華時計の入手方法
通常の時計店や量販店、ネットショップでは取り扱っていないことが多い。基本的にはAliExpressで売っているが、一部はAmazonでも売っている。
ただし、アリエクは為替レートの関係で必ずしも安いとは限らず配送に時間がかかるので、欲しいモデルがもしあればAmazonで買ってしまってもよい。他、楽天やyahoo!ショッピングに出店しているショップからも購入できる。
もう一つの入手方法はヤフオクやメルカリなどである。こちらは業者が定期的に出品しておりすぐ買えるのがメリットだが、保証や返品交換などが微妙なので転んでも泣かない人向け。
中華時計の中毒性(長文注意)
中華時計は一見イロモノっぽいがなかなか遊べる時計が多くて楽しめる。プレザージュやオリエントスターなどのマジメな国産時計に慣れている人、一本20万以上するようなスイス時計を普段巻いていた人からすると、軽くカルチャーショックに陥るかもしれない。
安いのでついポチってしまいたくなるが、実はこれが罠である。黒サブと緑サブ合わせて3マン以下とかやったー安いじゃんとか喜んでいると沼確定。中華時計はこうして自己増殖していく性質があり、金銭感覚を狂わされていつの間にかサイフをスッカラカンにされてしまう。
ダイバース系については完成度がかなり高いので、腕時計が知らない人がいきなりこれを手を出すと時計観がちょっと狂ってしまうかもしれない。同じ価格で張り合える国産時計やスイス時計はほとんどないため、最終的なゴールが中華時計になってしまう危険がある。
一方色々浮気をしてきた人がこれに手を出すと、時計観がちょっと狂ってしまうかもしれない。気が付くとこればっかり使ってしまうため、「俺もうこれでいいや」と言わんばかりに最終的なゴールが中華時計になってしまう危険がある。行き先同じじゃねえか。
何が恐ろしいかって、安くて気楽に使える割に高品質なところである。しかも現状に飽き足りない向上心を持ち合わせており、定期的にバージョンアップまでかましてくる。興味本位で手を出したが最後、よく訓練された中華時計ジャンキーにされてしまっても何もおかしくはない。(上の画像参照)
そんなアヤシイ魅力、ロマンたっぷりな中華時計達。あなたも一本いかが?
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