中華レンズ界の頼れる兄貴、ビルトロックス先輩について。
VILTROXとは
中国・深圳のレンズメーカーで、新興メーカーながら高い技術力を持っている。主にソニーEマウント、フジXマウントがメインだが、最近ではキヤノンRFマウント、ニコンZマウントなどにも対応している。
七工匠、TTArtisan、Peagearなどの中華レンズメーカーはオールドライクなMFレンズがメインだが、VILTROXは基本的にAFレンズがメイン。ステッピングモーターによる静音性や、ビルドクオリティの高さが持ち味。写りも現代的でクセの少ない描写をする。
何気にすごいのは、謎の技術によってタムロンやシグマに先駆けてニコンZマウント用のオートフォーカスレンズを出していたこと。しかも大きなクレームもなく概ね好評、普通に受け入れられているあたり技術力の高さが伺える。
ところでこのカラーリングを見てくれ。コイツをどう思う?
すごく…キュベレイです…。
特徴
ここがすごいぞビルトロックス
1.抜けが良いクリアな描写 |
2.歪曲収差の少なさ |
3.APS-CならF1.4 フルサイズでもF1.8の大口径 |
4.高いビルドクオリティ 質感の良いアルミ鏡胴 |
5.リーズナブルな価格 |
22mm、33mm、56mmを入手して試したところ、非常に現代的で高性能なレンズという印象。大口径で抜けが良いため夜景撮影の友にピッタリ。色乗りや歪曲収差も良好なので普通に主力として運用できるポテンシャルがある。
もうひとつ、アルミ製鏡胴の質感の高さも魅力的で、フジノンレンズやペンタックスリミテッドレンズのような佇まいはコレクターの心をくすぐる。カラーバリエーションがあるのもこそばゆい。
それでいて安価なのでコストパフォーマンスは非常に高い。23mmを入手したところ、これが気に入ったことが呼び水となりうっかり一式揃ってしまった。
ここがいまいちビルトロックス
1.あんまり寄れない |
2.MFレンズと違って複数マウント使いまわしは不可 |
3.ややマイナーで入手性が良くない |
4.見上げれば純正レンズの存在 |
基本優等生でクセや欠点が少ないレンズであるが、唯一、最短撮影距離のみ平凡なレベル。とはいえ他のレンズに比べて寄れないということはないし(平均レベル)、寄って撮らない人ならそもそもデメリットにならないだろう。
注意点としては、他の中華MFレンズのようにマウント兼用はできないこと。TTArtisanのようにXマウント⇒Zマウントのマウントアダプターを噛ませて、ついでにZマウントでも兼用しようとしても絞り羽根が動きません。
まああとは、家電量販店でまだ売っていないので信用ならないという人や、純正レンズがあるからという人もいるかもしれないが、こればっかりは手に取って試してみるしかないかな。男は度胸!なんでも試してみるのさ。
フード
個人的にビルトロックスのチャームポイント。本体と同じくアルミでできていて高級感があり、フード内側には反射防止のための溝が彫られている。
しかも機能的で、フード内側に板バネが仕込まれており取り付けると適度なクリック感がある。ネジ切りが引っかかたりゆるゆるになったりしにくい。花形フードは逆付けでコンパクトに収めることも可能。角型は流石に無理だがカッコいいからセーフ。
語感
製品とは全く関係のない話だが、blueはこのメーカーの語感が非常に気に入っている。なんかヨーロッパあたりでこんこんと湧き出てる天然水っぽい。ちょっとミネラル多めで硬水風味な(笑)
こう語感がいいと無意味に「兄貴」とか「先輩」を付けたくなる。RTA動画の見過ぎかな。
ナイスな性能、イケてる外見、リーズナブルな価格と三拍子揃った頼れるレンズメーカーであり、blueは敬意を表してビルトロックス先輩と呼んでいる。
ビルトロックス先輩オッスオッス
VILTROX 23mm F1.4
焦点距離 | 23mm(換算35mm) | レンズ構成 | 11枚10群 |
最小絞り | F1.4 | 絞り羽根枚数 | 9枚 |
最大絞り | F16 | 寸法 | 65×72mm |
最短撮影距離 | 30cm | 重量 | 250g |
フォーマット | APS-C専用 | フィルター径 | 52mm |
ビルトロックスの準広角担当。APS-C換算で35mmとなるレンズ。
画角がそこそこ広いのでシャッタースピードを稼ぐことができ、F1.4の絞り開放でも甘々にはならないため、夜景スナップに向いている一本。最近のデジカメに組み合わせるとかなりのところまで手持ちで撮れる。
このレンズの個別記事はコチラ↓
VILTROX 33mm F1.4
焦点距離 | 33mm(換算50mm) | レンズ構成 | 10枚9群 |
最小絞り | F1.4 | 絞り羽根枚数 | 9枚 |
最大絞り | F16 | 寸法 | 65×72mm |
最短撮影距離 | 40cm | 重量 | 270g |
フォーマット | APS-C専用 | フィルター径 | 52mm |
ビルトロックスの準広角担当。APS-C換算で50mmとなるレンズ。
ちょうど50mmの画角となるためオールマイティに使いやすい一本。割と激戦区の50mmだが、このレンズの良さは設計の新しさからくるクリアな描写と歪曲収差の少なさで、さしずめ安打製造機といったところ。抜群のコストパフォーマンスも魅力。
このレンズの個別記事はコチラ↓
VILTROX 56mm F1.4
焦点距離 |
56mm(換算85mm) | レンズ構成 | 10枚9群 |
最小絞り | F1.4 | 絞り羽根枚数 | 9枚 |
最大絞り | F16 | 寸法 | 65×72mm |
最短撮影距離 | 60cm | 重量 | 290g |
フォーマット | APS-C専用 | フィルター径 | 52mm |
ビルトロックスの準望遠担当。APS-C換算で85mmとなるレンズ。
85mmということでポートレート用途のレンズだが、大きさが先の23mm、33mmと全く同じで、F1.4とは思えないほどコンパクト。相手に緊張感を与えにくく、フィルター径も52mmと小さく使いまわしやすいのもよい。もちろん遠景撮影にも使える。
このレンズの個別記事はコチラ↓
まとめ
中華レンズと侮るべからず。なかなか高性能なレンズを作っているメーカーである。
LAOWAが広角レンズやマクロレンズに特化しており、価格帯も高価なので少し尖った印象があるのに対して、VILTROXは幅広い画角に求めやすいスペックと親しみやすい印象がある。これはシグマタムロンに次いで第三の伏兵になりうるかもしれない。
私のように新しくマウントを追加したときに、シリーズ一式まとめて揃えてしまってもいいかもしれない。何せ純正1本買える値段で3本買えるのでしばらくこれで不自由しなくなるし、クセがない分極めようとすると難しいレンズでもあるので、そこそこ長く楽しめる。
個人的に面白かったのは、限定カラーをたまに出していて変わった色のレンズを出しているところ。なんというかペンタックス魂を感じる。富士Xシリーズはアクセサリも多いのでこのレンズと組み合わせるとこんな個性的なカメラができてしまう。
そんなこんなでblueの家には順調に中華レンズが増殖していくのであった。(おしまい)
これも過去に書いた中華レンズのまとめ記事です。1本行っとく?
2023年7月 追記
同じデザインの角形フードが売っていたので3色揃えてしまった。これは楽しい(笑)
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