【コラム】Fマウント用のタムロンレンズをZマウントで使う方法(Tap in Console)

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久々のマジメ記事。この記事ではニコンFマウント時代のタムロンレンズをファームウェアアップデートしてZマウントで使う方法について解説します。

Fマウント時代のタムロンレンズ

Fマウント時代のタムロンレンズはZマウントでも使うことができるのだが、中にはファームアップデートが必要な機種もあり、これを行わないと「異常を検出しました」とカメラ側でエラーが出て使用することができない。Zマウントに移行した際に使えなくなって困った人もいるはずだ。

売却して新しいレンズを購入するのが早いが、表向きの話ではタムロンはZマウント用にレンズを提供していない。そのため純正品に乗り換えるしかないのだが、最近のレンズは高いし、今までのタムロンに愛着があって、とりあえず放っておいている人もいるだろう。

筆者は古い機材を使い回す性分なので、Fマウント用のタムロンレンズが割と転がってる。そんなわけで、昔のタムロンレンズをZマウントでなんとかして使えないかな、というのが今回のテーマ。

公式アナウンス

タムロンからカメラメーカーごとの互換性のチェックについての公式記事がリリースされている。このページのドロップダウンリストに持っているミラーレス機を入力すると、使用可能な一眼レフ時代のタムロンレンズが表示されるようになっている。

さすがにフィルム機時代のような古すぎるのは載っていない。ただしModel A09(28-75mm F2.8)、Model A16(17-50mm F2.8:APS-C機用)、Model 272E(旧式90mm F2.8マクロ)といった一世代前に活躍した目ぼしいレンズは大体載っている。



さすがにコレに乗ってないのはそろそろ買い替えてくれということだろう……。あえてフィルム時代のタムロンを使い続ける人はかなりのマニアと思います(タムロンマニアの方ごめんなさい)

タムロンレンズの種類

タムロンはサードパーティの国内レンズメーカーで、シグマと共に長年にわたって切磋琢磨してきたメーカーとなる。サードパーティであるためカメラメーカーを問わずレンズを提供している。

タムロンは世代ではなく対応機種によってラインナップが分かれている。シグマと違い形式的にラインを一新しているわけではなく、従来のラインから引き続きとなっている。

Di 一眼レフ機 フルサイズ
Di II 一眼レフ機 APS-C
Di III ミラーレス機 フルサイズ
Di III-A ミラーレス機 APS-C

 


一眼レフ機用のレンズはDi(フルサイズ用)Di II(APS-C用)となる。ミラーレス機用となるDi IIIはタムロンの現行ラインとなるのだが、2024年現在ニコン用としては発売されていない(表向き)

タムロンレンズの世代

タムロンのレンズも世代があり、いくつかのモデルチェンジを経ながら現在に至っている。シグマと同じく2010年代中ごろがターニングポイントとなっており、レンズデザインが一新されている。

この記事ではレンズデザインが一新される前のモデルを「旧型」、一新された後のモデルを「新型」と呼ぶことにする。シグマArtと同じようなシフトなのだが、タムロンは型番やラインでどこからが新型なのかがわかりにくいため便宜上こう呼ぶことにする。

旧型のモデル

2010年初頭くらいまでの世代のレンズとなる。この世代のFマウント用タムロンレンズは超音波モーターを内蔵していないため、FTZを用いてZマウントに用いるとAFは動作せず、MFオンリーとなる。他のメーカーでも同じだろう。

上段はModel A16(17-50mm F2.8:APS-C機用)で、Kマウント(ペンタックス機用)のズームレンズとして未だ現役で使っている。適度な太さで取り回しが良く、ローレットゴムがひっかかりがよく使いやすくて好きなのだが、金ハチマキと呼ばれるこのデザインはあまり評判が良くないようだ。

下段はModel 272E(旧式90mm F2.8マクロ)となる。このレンズはタムロンの代名詞的存在で、旧式故にフリンジが目立つこともあるが、安価でよく写るというレンズだ。これはFマウント用で、純正105mm F2.8ラオワ100mm F2.8に替わったが、軽いのでたまに持ち出す場面がある。

新型のモデル

この新型のタムロンレンズは、超音波モーター、アルミとプラスチックの複合素材によるレンズ鏡胴などが搭載されており、デザインも一新されている。ほぼシグマARTラインと同等の仕様・性能となる。

シグマARTがそのままZマウントで使えるんなら、タムロンも使えるんじゃね?と思ったそこのアナタ、実は違うのです。いや筆者もそう思っていたんですけども。


下の図はSP 24-70mm F2.8 Di VC USD G2 (A032)を、FTZを介してニコンZ7に付けた図で、そのままだと背面モニタに「異常を検出しました」という表示が出てしまって使えないのです。この文言ははちょっと心臓に悪い……。

タムロンの公式HPによると、Tap in Cosoleというガジェットを買ってきてファームウェアアップデートしてくれと言ってます。ここからがこの記事の本題で、この新型タムロンレンズをTap in Consoleに接続してファームウェアアップデートをしていくことになる。

Tamron Tap in Consolensole

Fマウント時代のタムロンレンズのアップデートにはTap in Console(タップインコンソール)が必要になる。タムロンのDiレンズおよびDi IIレンズはシグマArtシリーズと異なり、レンズ本体にUSB接続用のコネクタは備えていない。

そのためTap in ConsoleをPCにUSB-Cケーブル(付属)を接続し、レンズをコンソール本体に装着してアップデートを行うことになる。のち改良されてDi III(ミラーレス機用レンズ)からはレンズ本体にUSB-Cケーブルを備えているため、ケーブル1本で調整できるようになった。


わざわざ買わないといけないのは面倒だし、アップデートするレンズが1個しかない場合などはいっそ買い替えてしまうか悩むが、コレ自体はそんなに高くない。手間もそれほどはかからず、ピント調整などもできるのでFマウント兼用したい人は悪い買い物でもないと思う。

なおこの記事ではニコンFマウント⇒Zマウントで書いているが、キヤノンEFマウント⇒RFマウント、ソニーAマウント⇒Eマウントも基本的には同じとなる。

使い方

使い方に関してはタムロンの公式HPにオンラインヘルプのページがある。丁寧な動画もあり、正直筆者の説明より余程わかりやすい。



……が、丸投げするのはさすがに雑過ぎるので実際にやっている説明を。

タップインコンソールをPCに接続する

タムロンのタップインコンソールにUSB-Cケーブルを用いてPCに接続すると以上のような確認ウインドウが出てくるので「インストール」ボタンを押す。


インストール先を聞かれるので特に問題がなければ初期設定のまま「次へ」ボタンをクリック


買ってきたタップインコンソールは初期出荷状態だとインストールされているファームウェアが古くなっていることがある。その場合上記のようなウインドウが出てくるので、「OK」ボタンをクリック。これでタップインコンソールのファームウェアは更新される。


アップデートが完了したところ。


レンズのファームウェアアップデート

タップインコンソールをUSB-CケーブルでPCにつないだまま、レンズマウント本体に装着する。このコンソールはタムロン製レンズのマウント(この場合はFマウント用)合うように作られているため、カメラ本体と同じように取り付けて半時計周りに90°回すことで認識する。


レンズをタップインコンソールに接続し、正常に認識されると先ほどPCにインストールしたデバイスソフトが起動する。するとファームウェアをアップデートすしますかと聞かれるので「OK」ボタンをクリックする。


OKボタンをクリックすると、レンズ本体のファームウェアアップデートが開始される。

※注意:ファームウェアアップデート中はコンソール本体やUSBケーブルを抜き差ししないように注意してください。最悪レンズが壊れます。また壊れても当ブログは責任を負いかねます。あらかじめご了承ください。


Tap in Consoleのいいところ

わざわざ買わなくちゃいけないのは確かに面倒だがそんなに高くない。またファームウェアアップデート作業自体は楽で、ピント調整などにも使えるのでFマウントとZマウントでレンズを兼用したい人は持っておくと便利かも。

なんか丸くてかわいい

機能や性能には全く関係のない部分だが、デザインが好き。なんか丸くてかわいいやつ。

ちなみにシグマのUSBドッグはシグマArtレンズに準じたデザインになっていて、カッチリ系。これも前ピンや後ピンを調整するときに使うデバイスになるのだが、メーカーの性格が出ていて楽しい。シグマは割と前ピン傾向があるのでこれも持っておくと便利。やはりそんなに高くない。

ピント調整が可能

このタップインコンソールのいいところはピント調整が自前で可能な点だ。サードパーティレンズは前ピンや後ピンになっていることが稀によくあるし、ヤフオクメルカリの中古レンズはそういった個体をしれっと出すこともあると聞く(筆者は幸い当たったことはないが)

その場合でもコレを買ってくればわざわざメーカーに送る必要が無い。レンズ側に明らかな異常や故障がない限り、これとカメラボディ側のピント微調整設定でほぼ追い込めると思う。

ファームウェアアップデートが楽

Tap in ConsoleはUSBケーブルでパソコンに接続した際に、バージョンが古いファームウェアを自動で取りに行ってアップグレードしてくれる。わざわざ公式サイトまで行って、個別のレンズのファームウェアをダウンロードする必要が無い。

マウントを装着するとTap in Console側でレンズを自動判別して、ファームウェアが古いとアップロードしてくれるか聞いてくれるので、何も考えずボタンを押せばそれで完了する。

これは筆者が拍子抜けした部分で、タムロン公式までファームウェアをダウンロードしようとして場所が見つからず困った。それもその通りで、専用ソフトウェアで行うためレンズ個別のファームウェアをダウンロードする必要が無いのだ。

関連:Di IIIレンズの場合

Di III(ミラーレス機用)の世代になってからは、シグマと同様レンズ鏡胴にUSB-C端子が付いているため、USB-Cコネクタで直接ファームウェアアップデートやピント調整ができるようになっている。(Tap in Consoleはフヨウラ!)

ファームウェアアップデートには専用ソフトのTAMRON Lens Utilityをダウンロードする。料金は無料で、同社のWebサイトからダウンロードできる。



なおパソコンとの接続に使用するUSB-Cケーブルは、タムロン純正のTAMRON コネクションケーブル(CC-150)が推奨されている。

余談:ファームウェア公開情報

ファームウェアの公開情報はこのページにある。


このページにあるものは、とりあえずミラーレス機に流用が可能と考えていいだろう。

注意!! (90mmマクロ F017N)

このTap in consoleだが、SP90mm F2.8 Di MACRO 1:1 VC USD (F017N) ※ニコン用では直せないとのこと。つまりAFやレンズ側手振れ補正については、Zマウントでは対応できないとのことだ。



キヤノン用についてはTap in consoleで対応できることがアナウンスされている。



このモデルについてはFマウント専用として割り切った方がいいだろう。Zマウントのマクロレンズは以下の三択になるのかな。

NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S(Zマウント専用)
AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED(Zマウント&Fマウント兼用 旧式)
LAOWA 100mm F2.8 2X Ultra Macro APO(Zマウント&Fマウント兼用 MFオンリー)

特段こだわりがなければ素直にZ MC 105mm F2.8 Sを買ってしまった方がいい。AF-S Micro-Nikkor 105mm f/2.8G は兼用できるものの2006年発売と流石に古さが目立ち、鏡胴が太く重たいのも少し気になる。

ラオワ 100mm F2.8 2Xは兼用できるレンズで、2019年発売と光学設計も新しく、2倍マクロという特殊能力もあるので面白いレンズだが、電子接点すらない完全MFレンズとなるためクセが強い。アルミ鏡胴で作りもよく、腕時計記事作成時に常用しているレンズだが、万人には勧めづらいw

まとめ

さて、あらためてニコンZ7に純正マウントアダプタのFTZを介してタムロン SP 24-70mm F/2.8 Di VC USD G2 (A032) を装着したところ。これでZ7でも使えるようになった。ちょっとデカいけどね。

ミラーレス機への過渡期だったためタイミングが悪く、日の目を見ることが少なかったが、一眼レフ時代末期のサードパーティレンズは高性能なレンズが多い。いわゆる星のカービィ現象(ゲームハード末期のソフトに名作が多い現象)がカメラ業界にもあるのだ。


SP 35mm F/1.4 Di USD (F045) などはその代表で、先発のシグマ35mm F1.4 HSM Artを軽く凌ぎ、あのシグマ40mm F1.4 HSM Artに迫る画質を誇るという。タムロンなのでボケも柔らかい。

一眼レフ用ゆえに割安なので探してみるのも一興。筆者はシグマの35mm 40mmがあるし、D200やS5 Proには使えないのでもうおなか一杯だが、でもちょっと欲しい。そんなにスゴイのかと。

関連商品

D850やD780などのFマウントユーザーはレンズを上述のTap in consoleを用いることでそのまま持ち越すことができる。タムロン末期のFマウントレンズは名作が多いためその価値は十分にある。ここではその三本を紹介。

これらのレンズはニコンのFマウントとZマウントで兼用できるのが長所で、描写性能も十分で、しかしながら価格が安いという現行Zマウントレンズにはないメリットがある。なおZマウント(ミラーレス機)で使う場合は、ニコン純正のマウントアダプタ(FTZまたはFTZII)が必要となる。

そして使用できる機種は基本的にD300以後のモデルとなる。CCD時代のオールドデジカメであるD200・D80では使用不可なので注意。その場合はシグマartの初期モデルを使おう。


Tamron SP 24-70mm F2.8 Di VC USD G2 (A032)

一眼レフ時代のタムロンの大三元標準ズーム。タムロンの2.8通しズームは長いこと28-75mmという焦点距離を得意としていたが、このモデルは24-70mmと他社大三元と同様となっており、広角域でも使いやすいくなっている。

加えて手振れ補正(VC)が協力で、結構雑に撮っても助かることが多い。デザインも一新されて今風になっている。レビュー記事についてはコチラ。


TAMRON SP 35mm F/1.4 Di USD (F045)

Fマウント時代のタムロンの到達点。

シグマart 35mm F1.4よりも大分後発に発売されたレンズで、その分画質は折り紙付き。ニコン純正35mmは言わずもがな、シグマart35mmすら凌ぎ、あの最強レンズシグマ40mm F1.4にすら迫ると海外フォーラムで絶賛された名玉。

発売年が2017年とFマウント末期であり、翌年2018年に初代Z6・Z7が発売となったためあまり目立たないレンズだが、そこまで評価が高いと試してみたくなる。残念なのは電磁絞り採用レンズのため、ニコンD200・D80・S5Proには使えないことが悔やまれる。

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