キュービックジルコニア(CZ)

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スペック

名称 キュービックジルコニア モース硬度 8.5
カテゴリ 酸化物鉱物 比重 5.68
結晶構造 単斜晶系 屈折率 2.13
化学式 二酸化ジルコニウム Zr02 石言葉 「平和」「苦しみからの解放」

どんな石?

ダイアモンドの代替品やイミテーションとして広く流通している石。自然界に存在している宝石としてのジルコンとは別物であり、自然界には通常存在しない物質であることから「人造宝石」というカテゴリに属する物質となる(よって厳密には「石」じゃない)


ジルコニアは酸化カルシウムや酸化マグネシウムなどの希土類酸化物を固溶(添加)することで、強度、及び靭性などの機械的特性が向上する特性があるが(安定化ジルコニアと呼ぶ)。

この安定化ジルコニアにイットリウム、カルシウム、マグネシウム、ハフニウムなどを、4パーセントから15パーセント程度添加したものを立方晶安定化ジルコニアと呼ぶ。


これがいわゆるキュービックジルコニア(CZ)と呼ばれるもので、モース硬度が8.5と高く、屈折率が2.13と高いため宝飾用途に適している。製造方法が確立されていることから比較的大型の結晶も得られ、金属元素の添加で赤、橙、青、緑、ピンク、琥珀色など様々な色のCZも作られている。

ディティール

ダイアモンドとの違い

ダイヤモンドの代替品として使われることも多い石であるが、屈折率がダイアモンド(2.42)よりも小さく(2.13)プリズム効果がやや控えめなため、目が肥えている人なら識別できる…かもしれない。

識別方法としては紙に黒い線を引き、その上に石を乗せる方法がある。屈折率が小さいCZは線がはっきり見えるが、大きいダイアモンドはぼやけてよく見えないというものである。ただこの方法はブリリアントカットでは可能だが、オーバルなどの他のカットで可能かはわからない。


もうひとつ有名な識別法としては、息を吹きかける方法があり、宝石表面の曇りがすぐに引けばダイアモンドで、曇りがしばらく残ればCZとされる。これは物質の熱伝導率の差を用いた方法である。

もっともblueはダイアモンドは小さいものしか持っておらず、CZは逆にクソデカサイズしか持っていないので、そもそも識別するまでもなかったりする。

CZのメリット

安物で軽く見られがちなCZであるが、ダイアモンドより適している特性がいくつかある。

安い

CZは大量生産する方法が確立されており、ルース(宝飾用カットのされた宝石や輝石)の中でもトップクラスに安い。ベルヌーイ法で製造される合成ルビーよりも安く、入門用として最適である。

だが価格と美しさは別に比例しない。安価でも美しく、見どころがあり、楽しめるものは世の中にはたくさんある。これは経済的価値が単純に需要と供給から決まることが多いためで、これはモデルガンや熱帯魚など他のジャンルの光り物にも広く見られる。

手脂に強い

ダイアモンドは炭素(C)でできているため、脂になじむ性質(親油性)があり、素手で触っていると段々くすんできて輝きが鈍くなっていく。そのため超音波洗浄、中性洗剤やアルコール塗布などの方法によるクリーニングを必要とする。

この点CZは親油性はないため、素手でべたべた触ってもあまり問題がない。価格も安いのもあって手軽に扱うことができる。

重たい

ダイアモンドの比重は3.68であり、CZは5.68であるため、CZの方が重い。酸化鉛を添加したスワロフスキー(フルレッドガラス)で3.2程度、サファイアで4程度なので、CZの5.68は宝石カテゴリとして見た場合かなり重たい。そのためピアスなどにはあまり向かない。


ただCZは大粒の結晶が出回ることも多く、重さを生かせる用途には向いていたりする。その重さがどうも安っぽいと感じてしまう人もいるかもしれないが、blueはCZの手の取った時のズッシリ感は結構好きで、100ct超えの大粒ルースのギュッと凝縮した感じは独特の魅力がある。

AmazonにはCZは800ct超とかいうギャグみたいな大きさのクソデカキュービックジルコニアが売っており、blueはこれを重石や紙置きとして使っている。CZの比重の大きさが遺憾なく発揮されており、宝石というよりはもはや鈍器というレベルで笑う。


逆説的な話になるが、ダイアモンドは比重がCZよりも小さいため、同じ1ct(カラット=0.2g)であってもCZよりも体積は大きくなる。数値だけ見てCZの感覚で買うと意外とでかいのが送られてくるの少し得した気分になる。

カラーバリエーション

CZはカラーバリエーションが多く、あらゆる色の結晶が出回っている。手持ちのものだとレッドやピンク、パパラチアカラーのものを持っているが、ブルーやグリーンなどもよく見かける。

石言葉「平和」

自然石ではないCZにも石言葉が設定されており、その意味は「平和」らしい。少々こじつけっぽい気もするがなかなか気に入っている。

CZは安価であるため、光り物が好きな人なら誰でもこれを入手して楽しむことができる。ゆえに争いなど発生しないのだ。南アフリカでは金やダイアモンドの鉱床が発見された際、利権をめぐる戦争により多くの血が流れたという。CZにはそういった価値はないのでとても平和である。


どのくらい平和かというと、オクで1,500円出せばブリリアントカット15mmルースが20個くらい買えてしまうほどである。何かと溜め込み癖のあるblueをして、こんなにいらねぇ…ってレベルで、熱帯魚水槽の底床全部コレに変えてしまおうか悩んだほどである。やめたけど。

ダイアモンド並の輝きを放つ石を会社の紙置きとして無造作に使ったり、周りの子どもに配ったり、(さすがに水槽に放り込む暴挙はやめたけど)できるくらい気軽に入手できるというのはなかなか凄いことで、この石の「平和」は当たらずも遠からずじゃないかなぁ。

まとめ

ダイアモンドと見紛う輝きと美しさを持ち、硬度が高くて傷が付きにくく、しかも安いという三拍子揃った「人造宝石」である。人造宝石という自然界には存在しない物質ではあるのだが、その点に目をつぶれば下手な宝石よりも観賞価値や満足感が高いから困る。

宝石や鉱物は価格と美しさが比例しないので、特にこだわりがなければ安価なものから集めていった方が良い結果になるかもしれない。CZは安価なため軽く見られがちだがカラーバリエーションが多く、100ctを超えるクソデカサイズもあるので意外と奥が深い。

演色性について

ダイアモンドやCZがキラキラと光るのは、光の屈折率分散率が大きいからである。宝石は太陽光の方が室内灯よりもきれいに見えるが、これは太陽光には短波長から長波長まで様々なスペクトルの光が含まれていることによる。

この点、現在主流のLEDライトは光源としては高効率な反面、光の波長が効率的(無駄なものが少ない)ため演色性が今一つであり、思うようにファイアが出ないことが多い。特に赤系が弱いかな。

こういう時は演色性の高いライトを使うとファイアを堪能することができる。この4枚は高演色LEDライトを当てた撮影したところだが、カメラと肉眼ではまた映り方が違うようでなかなか難しい。

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