前回に続いてエリザベスコインの話。今回はカナダのメープルリーフコインについて取り上げる。
メープルリーフコイン
こちらはカナダ造幣局の発行する地金型金貨で、カナダ中央政府が保証している。 表面にはエリザベス2世の肖像、裏面にはカナダの国旗にも描かれるカエデの葉がレリーフされている。
こちらもバリエーションとして金貨以外にも銀貨、プラチナ貨、パラジウム貨などがある。また金貨は1トロイオンス以外にも、1/2、1/4、1/10トロイオンスと出ており、懐事情に合わせて小額から購入できる(ただし1トロイオンスで買うのが一番お得)。
メープルリーフ金貨
発行国 | カナダ | 発行年 | 2015年 |
量目 | 1トロイオンス(31.1g) | 品位 | 999.9 FINE GOLD |
直径 | 約30mm | 厚さ | 約2.8mm |
直径30mmとブリタニア金貨に比べると3mm小さい。これはたまに発行される500円記念硬貨と同じサイズであるため比較して楽しむこともできる。輝きが全然違うので驚く。
エリザベス2世の肖像も王冠を被っておらず、デザイン的にも親しみやすい感じがする。これまでは地金型金貨の中ではウィーンフィルと並んで最安だったのでしこたま買い込んだ人もいるかもしれない。blueはこれ1枚しか持っていないので正直クッソ羨ましい。
メープルリーフプラチナ貨
発行国 | イギリス | 発行年 | 2015年 |
量目 | 1トロイオンス(31.1g) | 品位 | 999.5 PLATIUM |
直径 | 約30mm | 厚さ | 約2.6mm |
金貨同様、直径30mmなので500円記念硬貨と同サイズ。こちらは金貨よりも色合いが地味で、コインの厚さも薄いため、ぱっと見普通のコインに思えるが、重量感が異次元すぎる。銅比重8.9に対してプラチナ比重19.2と2倍以上重い。この異様なズッシリ感は病みつきになる。
初めて入手したのは2015年で、それ以来プラチナの価格が安値更新するごとに何枚か買い足していったが、1g=3,000円以下で買える日は多分もうこないかもしれない…。それでもゴールドよりはずっと安いのだけど。
ゴールドとプラチナのショット。ブリタニア、メープルリーフ、ウィーンフィルは同寸かつ同デザインなのでどちらかを手に入れるともう片方も手に入れたくなってしまう。罠じゃんこれ。
これに対して、アメリカのイーグルコインはデザインが異なるため、どちらかを手に入れるともう片方も手に入れたくなってしまう。どっちも同じじゃねーか!
メープルリーフパラジウム貨
発行国 | イギリス | 発行年 | 2015年 |
量目 | 1トロイオンス(31.1g) | 品位 | 999.5 PALLADIUM |
直径 | 約34mm | 厚さ | 約3.2mm |
素材もさることながら、直径34mmという金貨と銀貨のちょうど中間の大きさの、少し珍しいサイズ感のコイン。色や質感は同じ白金族のプラチナによく似ている。
パラジウムは鋳造時にガスを大量に吸い込むために鬆(す)が出やすく、大気中でのろう付も枯れやすく難しく加工が困難とされていたが、技術の進歩で生産が可能になったそうだ。
ただしヘアライン仕上げの古いデザインのものも見るのでそれなりに古くから発行されているようだ。スポット生産?されたものがコイン屋などに出回ることがあり、blueが入手したのもそれによる。
実はメープルリーフ金貨よりも高額なコインである。生産数が少ないことも確かにあるが、材料となるパラジウムが単純にめっちゃお高いんである。2022年9月現在、安くても1g=11,000円くらいはあるので、これがコインになるとまあ\360,000くらいはするんじゃないかと思う。
つーか入れ歯の材料だろオマエ。ゴールドより高いってなんだよ…。
こんな高級品は安月給のblueはもちろん買えるわけもなく、所持する1枚は2016年にたまたま買ったものであった。当時はまだ安くて1g=1,900円を切っていたのでお試しで1枚ポチったらよもやこんなことになろうとは。完全に下剋上である。
メープルリーフ銀貨
発行国 | イギリス | 発行年 | 2022年 |
量目 | 1トロイオンス(31.1g) | 品位 | 999.9 FINE SILVER |
直径 | 約38mm | 厚さ | 約3.2mm |
買いやすく、入手しやすく、デザインもよいという、三拍子揃った優良コイン。わざわざコイン趣味を足を踏み入れた人なら1枚は持っていることだろう。逆に光り物オタクでこれを知らないのはモグリ。
特にこだわりなく銀貨を集め出すととりあえずこれになることが多い。一昔前はブリタニアよりもこちらの方が安く、シルバー1gあたりの最安だとこれかウィーンフィルになるのだが、デザイン的にはこちらの方が見どころが多いため、消去法的にこのコインになることが多かった。
ブリタニアコインと同じく、こちらも途中からデザインが変わっている。エリザベス2世の肖像画は時代によって3パターンある。また仕上げも異なり、従来ヘアラインだったものが、現在のものは放射状にのびており、裏面に偽造防止マークが入った。これはゴールド、プラチナ、パラジウムも同様。
まとめ
メープルリーフ集合の図。よく見るとシルバーとプラチナの色が違うのがわかる。
さて、いつも銃だの刀だの怪しい時計だの、何かとアレなものばっかり扱っているこのブログだけど、その中でコインは堂々と出せる貴重なジャンルだと今回気がついた。しかしコイン=直球で金目の物なので別に意味ではばかられるものがあり、やっぱり出しづらい(笑)
けど憧れは止められないし、光り物について扱うブログならここは避けて通れないわけで、せっかくなので今回書いた。コインって金銭的価値ももちろんあるけど、それ以上に金属工芸とか鉱物標本の見地からも興味深いんだよね。
特にメープルリーフは素材のバリエーションが広いのが素晴らしい。
ゴールド、プラチナ、パラジウム、シルバーの4種類が揃うわけだが、右上のレプリカコインも含めればカッパーもカバーでき、カナダ単独でセルフオリンピックが開催できてしまうのだ。これホントすごいカナダ最強じゃん。毎年ここでやるべき。
これはそのまま金属標本として活用することができる。たとえば「金色」や「銀色」って結構曖昧で人によって解釈が違うことが多いけど、これを見せれば一発である。他にも、プラチナってシルバーの上位互換みたいなイメージだけど、実際見るとなんか地味だなーとか、新たな発見があって楽しい。
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