鶴岡市の魅力を非公式に発信するコーナー。クラゲファンの聖地、加茂水族館を巡礼する。前回記事はコチラ。
加茂水族館
言わずと知れたクラゲファンの聖地。クラゲに特化した水族館であり他の水族館では見られない珍しいクラゲを数多く展示している。最近は外国人の方にも訪れているようだ。まだバレてないうちに急げ!!!
施設概要(2024.7)
そんな加茂水族館の施設概要を簡単にご紹介。
住所 | 山形県鶴岡市今泉大久保657−1 |
アクセス | ①鶴岡駅より庄内交通バス「湯野浜温泉行き」約40分「加茂水族館」下車 ②鶴岡駅より車で約25分 ③山形自動車道・鶴岡ICより約15分 |
開館時間 | 9:00~17:00 ※最終入館16:00 |
休館日 | 年中無休 |
加茂水族館は年中無休となっているが、遠方なので念のため確認した方が良いだろう。
また後述するがここはできれば平日に訪れた方が良い。平日の方が写真撮影がしやすく、バックヤードツアーも参加しやすいからだ。休日(特にお盆)は混むのでこの辺が制限されやすい。駐車場も待つことになる。
車で来館する場合は大山方面から国道112号線で加茂峠を越えてくるルートが一般的。加茂峠は昔は山道だったが今はトンネルが開通しておりかなり行きやすくなった。西郷・三川方面から県道43号線で訪れることもできるが、途中湯の浜海岸を通るので夏場は混むかもしれない。
一般 | 小中学生(※幼児無料) |
個人1,500円(団体1,350円) | 個人500円(団体450円) |
年間パス一般 | 年間パス小中学生 |
3,000円 | 1,250円 |
入場料は大人1,500円で所要時間は1時間~2時間程度となる。これも混み具合によるところはある。クラゲフリークの方々は年間パスポートを購入するとお得に楽しめるという説が有力です。
また加茂水族館には荒埼灯台が隣接していてこちらも楽しむことができる。加茂港~湯の浜海岸を一望できる。潮風がとても清々しい。
撮影機材
ニコンZ7にAF-S Nikkor 24mm F1.4Gを装着。水族館はガラスがあるため最短撮影距離の短いレンズが有利だが、もうひとつ厳しい条件があって場所によってはかなり薄暗い。そのため本職のマクロレンズだと厳しい場面が多々ある。
その点このレンズは最短撮影距離25cm(最大撮影倍率0.18倍)とそこそこ寄ることができ、F1.4と明るく光量を確保しやすいためおあつらえ向きとなる。筆者のレンズはGタイプ(Fマウント用)のため、マウントアダプターのFTZを用いて使用している。
広角レンズは最近出番が増えてきている。この間の船旅もそうだったが、海に縁があるのかもしれない。活躍しやすいシチュエーションがわかってくると面白いので一本持っておくと便利。
このカメラで撮った写真
庄内の海水魚
エントランスをくぐると庄内の淡水魚・海水魚のコーナーとなる。ここはリニューアル前の旧加茂水族館の雰囲気を残す水槽で、なかなか由緒正しく風情がある。
このイソギンチャクの水槽は実際にはかなり暗いのだが、ISO感度を4000~5000、絞りをF1.4くらいまで上げた根性設定で撮っている。根性設定と言いつつも結構余裕があり、左上のタイと目が合った感じはなかなか。
クラネタリウム
この加茂水族館最大の見どころにしてメインコンテンツ。ここまでクラゲに特化した水族館は加茂水族館をおいて他はないだろう。今回は平日の来訪だったので存分に堪能することができた。ガチ勢は年パスで楽しむらしい。ここが俺のディ●ニーラ●ドだ。
この加茂水族館は繁忙期になると逆走が禁止となったり、カメラ撮影が制限されたりするので平日がおススメ(2回目)。7年前くらいに一度来た記憶があるのだが、写真撮影がダメで断念した回ががあり、今回が最後の帰省なので無事回収できて一安心といったところ。
筆者はタコクラゲくん(3枚目右上)とサラクラゲくん(4枚目右下)が好きです。サラクラゲくんはヱヴァンゲリオンの使徒感のあるデザインで好き。これ超巨大になって謎ビーム撃ってきたらほぼ使徒だろう。なぜこんなスタイリッシュな形になったのか。
オワンクラゲくん(遺伝子組み換えでない)
今回フィーチャーされていたのはオワンクラゲくん。この子はブラックライトを当てると傘の縁が鮮やかな緑色に蛍光することが特徴で、まるでウランガラスのような幻想的な姿を楽しませてくれる。
この発見はノーベル賞ものらしい。オワンクラゲが蛍光する仕組みは緑色蛍光タンパク質(GFP:Green Fluorescent Protein)という物質によるもので、現在はタンパク質マーカーとして利用されている。
調べたいタンパク質の遺伝子にGFPの遺伝子を融合させると、そのタンパク質が細胞内のどこに存在し、どのように運ばれていくかが目視できるようになるそうで、特定の遺伝子がどこで発現しているのかわかるという。たとえばガン細胞の転移の追跡などに役立つそうだ。
その一方で遺伝子工学は取り扱いに注意を要する代物で、生態系への影響(遺伝子汚染)のリスクがあるためカルタヘナ法で規制されている。自然界ではあり得ない遺伝子組み換え生物が繁殖したら手に負えなくなる可能性があってやばいからだ。人類でいえばセフィロスみたいなものだ。
2000年代にエメラルドフィッシュというブラックライトで光るメダカが出回ったが、これはGFPを組み込まれたメダカで、当然やべーやつなのでカルタヘナ法でアウトになった。他にもサンゴの遺伝子を組み込んだ蛍光ゼブラダニオとかいたが勿論やべーやつなのでこれもアウトだ。
カブトクラゲくん(クラゲとはいってない)
本日の目玉その2はカブトクラゲ君。透き通った体を持ち、櫛板列に光をあてるとプリズムのように七色の光を反射するためとても美しい。 サイコガンが効かない
そんなカブトクラゲくんだが、彼実はクラゲではない。
カブトクラゲくんは有櫛動物:クシクラゲ類というカテゴリに属しており、クラゲ(有刺動物:クラゲ類)とは生物学的には全く別の仲間となる。そのため刺胞を持たず無毒である。今回はいなかったがウリクラゲくんもこのカテゴリに属し、やはり光を反射してプリズムを放つ。
なおカブトクラゲにはアカカブトクラゲという亜種が存在するらしくこれは衝撃だった。まるで赤い波動拳のような偶然の生んだバグによって生まれた存在はロマンを感じる。これは一度生で見たい。
クラゲドリームシアター
クラゲに特化した加茂水族館だが、ここまで見てきた中で肝心のアイツがいない。クラゲの中でももっとポピュラーかつスタンダードな存在であるはずのミズクラゲがどこにもいないのだ。
一体なぜ?どこか見落としかな?と首をかしげるが、その答えは「クラネタリウム」の最奥にある。
これ全部ミズクラゲである。直径5mの巨大水槽にはおよそ1万匹のミズクラゲが舞っており、あまりのボリュームに圧倒される。ラストにこいつを持ってくる演出は本当見事だ。
それは水槽というよりも、もはや弾幕系シューティングゲームのボス戦のような様相を呈している。筆者はゲーマーの悲しい性で、イスに座って眺めていると無意識に自機を操作してクラゲをすり抜けようとするのだが、あまりに数が多すぎて断念してしまった。
ミズクラゲ「いよいよもって死ぬがよい」
なお今回は七夕仕様になっていてちょっとレアだ。クラゲドリームシアターでは季節の催しがたまにあり、12月に訪れるとクリスマスツリーが飾られている。
バックヤードツアー
加茂水族館の裏メニューとしてコアファンの間で有名なのがバックヤードツアーだ。水族館では希望者を対象にバックヤードツアーを定時開催している。参加費用は2024.7時点で500円。これでも値上がりしたらしいがまだ安い。結構大人気なためこれも平日の方が参加しやすい。
バックヤードは水族館というよりも工場や研究室といった様相で、整然と並んだ水槽設備は一種の機能美すら感じる。普段我々が目にすることのない、加茂水族館の研究施設としての側面を垣間見ることができる。アクアリウムの徒としてはとても興味深い。
記事として普通に上げてしまっているが写真撮影は可能でSNS展開もOKとのこと。素晴らしい。
上段は繁殖用水槽で、ポリプ(クラゲの幼生)を育成している水槽になる。構成はいわゆるオーバーフロー水槽となっていて、水中の酸素濃度は高く保たれているようになっている。
下段は育成用水槽でここでクラゲを大きくしている。主なエサはアルテミア(ブラインシュリンプ)で、卵からふ化させたものを定時に与えている。エフィラを卒業して親と同じ形態になればデビューの日も近い。
COM(冷凍機用圧縮機)とHEX(熱交換器)だ。クラゲ水槽は低温を保つ必要があるのだが、冷媒管を用いて熱交換を行うことでこれを維持している。これは家庭環境では到底無理なやつだ。こうした裏側を垣間見れるのは一介のアクアリウムファンとしてはとても興味深い。
なお先ほどのクラゲドリームシアターの真上はこのようになっている。ここから育ったクラゲを順次投入したり、アルテミアを与えたり、老化したクラゲを回収したりしているとのことだ。なおガラスの清掃は長尺のブラシを使って行っているとのこと。
綺麗なので水面をのぞき込みたくなるが深底なので注意。真下は先ほどの弾幕シューティング水槽になっているため、スマホや財布を落とすと回収不可なので気を付けよう。
小ネタ
水族館内にある年表はいきなりピンチに陥っていて笑える。盛大な出オチだが、ここから巻き返してわずか四半世紀でクラゲ研究の権威になったのは本当素晴らしいことだと思う。
館内の撮影ルールの掲示(いらすとや)。中段の写真はどう見てもソレなのだが、公式が公認通り越して普通に掲示利用している。特に依頼したわけでもなく自然発生したものを水族館が見つけて利用している状況と思われるが、水生生物によく見られる共生関係みたいで面白い。
まとめ
加茂水族館は鶴岡市を訪れたら是非回っておきたいおすすめスポットとなる。鶴岡駅(鉄道)・庄内空港(空路)のいずれからもアクセスが良く、クラゲという非日常感を楽しめるので満足感が高い。光り物オタクならこれ単体でも行く価値があるだろう。
周辺には加茂港や湯の浜温泉があるため、磯遊びや海水浴、温泉入浴も楽しむことができる。機会があればぜひ。
ザ・バックヤード 知の迷宮の裏側探訪
何気なく朝起きたらNHKの番組で加茂水族館の特集をやっていた。30分番組!!ダーウィンが来たと同じ!!面白かったので是非どうぞ。再放送やるかなぁ。
リンク
2024年鶴岡旅のリンクはコチラから。
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