皆さんお待ちかねのニコンD200と富士フイルムS5 Proの撮り比べ記事。15年前にやれ。
S5 Pro vs D200
ニコンD200は2005年発売の一眼レフカメラである。当時としてはの準フラッグシップの高級機種にあたり、後継機にはD300 ⇒ D700 ⇒ D800 ⇒ D810 ⇒ D850 ⇒ Z8には錚々たる顔ぶれが並ぶ。ハイアマチュア機の後継機の礎になったカメラだ。
対するS5 Proは、このニコンD200のボディに富士フイルム謹製のスーパーCCDハニカムセンサーとフジカラーの色をインストールしたカメラで、同じ見た目でありながら中身は全くの別人だ。富士フイルムの魂が宿ったニコン機とも言え、パラレルワールドのD200ともいえる。
ニコンはたまにこういうバリエーションモデルを出してくる。D800に対するローパスレスモデルのD800E、マイナーチェンジのD810、その天体撮影専用機のD810Aみたいなヤツだ。だがS5 Proはぶっちぎりだろう。何せメーカー自体が違っているしソフトウェアも全く別物なのだから。
原色CCD機 撮り比べの巻
さて、こうして同じような2台が手元にあると撮り比べてみたくなってしまうのが人の性だ。わざわざ同じボディで作ったのだから違った写りになのだろう。そうでなくては意味が無い。
早速家の近所で試してみた……のだが、カメラの撮り比べは意外と手間がかかる。1ショット都度レンズを交換しなければならないからだ。ついでにCFカードが1枚しかなくこれも交換しなければならない。これではあまりにも作業効率が悪すぎる。
そんなわけで、D200で撮った既存のカットと同じ場所から撮ってみることにした。セルフ聖地巡礼というわけだ。テーマに選んだのは約半年前に黄金町界隈を撮った時の記事。結構アクセスがあり、それなりに反響があるようなのでこれをベースに取り比べてみることにする。
スペック比較
S5 Pro | D200 | |
発売年 | 2007年 | 2005年 |
画素数(名目) | 1234万画素 | 1020万画素 |
画素数(実質) | 860万画素 | 1020万画素 |
連写性能 | 秒間1.6コマ (D-RANGE 拡張時) 秒間3コマ (D-RANGE 100%時) |
秒間5コマ |
最大ISO | 100~3200 | 100~3200 |
ホワイトバランス | 2500~10000 | 2500~10000 |
ダイナミックレンジ拡張 | 最大400% | なし |
フォーカスポイント | 11点 | 11点 |
カードスロット | CFカード×1 | CFカード×1 |
バッテリー | NP-150 7.4V 1500mAh | EN-EL3e 7.4V 1500mAh |
ともにCCDセンサー機であるが、D200が通常のベイヤー配列センサーなのに対して、S5 Proは独自開発のハニカムセンサーを搭載している。ここがどう影響してくるのか。
画素スペック上はD200の方が1020万画素とピクセル数は上だが、S5 Proも実質860万画素とさほど大きな違いがあるわけではなく、画像データのファイル容量はむしろS5 Proの方が大きい。
撮影機材
富士フイルムS5 Pro、およびニコンD200に シグマ35mm F1.4 HSM Artを装着。共にAPS-C機なので実質的な焦点距離は換算52.5mmとなる。見た目は当然ながら瓜二つ。
以下、画面左側:フジS5 Pro 画面右側:ニコンD200 で表示していく。
このカメラで撮った写真
京浜急行黄金町駅界隈を散策。いつも通りjpg撮って出しで、ホワイトバランスは5000K、ISOは最大400という設定で撮影。フィルムシミュレーション(S5 Pro)はF2、ピクチャーコントロール(D200)はビビッド。ともに彩度・コントラストは高め設定となる。
S5 Proにはダイナミックレンジを最大400%まで増幅できる機能があるが、今回はF2(ビビッド)設定なので今回はカメラ任せとなる。STDにすれば任意設定できるが、レンジを広げる=コントラストが低下して眠くなるということでもあり、常時400%にすればいいものでもないらしい。
なおこの記事の比較写真は撮影日時が全く異なるため、多少構図はズレるし露出も同一ではない。ぶっちゃけ感覚で撮っている。なので当てにならないかもしれないし、実際アンダーやオーバーもあるのだが、まあ参考にはなるだろう。あくまでも雰囲気ってことで。
おさらい。左:富士フイルムS5 Pro、右:ニコンD200 で撮った写真。
早くも色が違う。1枚目の提灯の色がS5Proの方は赤みが抑えられている。2枚目のネオン看板もS5Proの方がネオン管の色が濃い。やっぱりダイナミックレンジがD200よりも広いのかもしれない。
3枚目の道路の写真もやはり赤みが抑えられている。色表現についてはS5 Proの方がバランスがよさそうだ。D200のパンチのある感じもまた魅力的だが。
横浜橋
色の出方が違う。2枚目の右側にある赤い看板だがこれもニコンの方が赤い。
S5Proは赤色に耐性があるようだ。フィルムシミュレーション:F2はリバーサルフィルム風で、ニコン機でいうビビッド相当の設定なのだがこれでも色が張り付いていない。一方D200は赤色が飽和している。見た目に近いのは前者だ。
1枚目、2枚目のイエローのバランスも異なる。D200の方が赤みが強い。この感じは筆者が昔リアルタイムで使っていたD80も同じだ。この感じはクセが強いがパンチがあり、良くも悪くも個性的な写りがする。「原色CCD機の味」はこの感じだと筆者は解釈している。
S5 Proの方は、赤みが抑えられている分現代のSMOS機に近い雰囲気があるが、D200と同じくコクがある写りで、ちょうど両者に中間と言った印象がある。
黄金町周辺
医大通りのバナーの色。S5 Proは緑がかったレモンイエロー、D200は赤みがかったカドミウムイエローといったところ。
ホワイト(白色)については、D200の方が中立的でS5 Proは少しシアンがかっている。ただどちらもCCDセンサー特有の柔らかくニュートラルな白色で、CMOSのような硬さが無い。今回は夜景なのでイマイチ実感しづらいが、花撮りなどをするとわかりやすいと思う。
3枚目はD200のレビュー記事を書いた時にアイキャッチに設定した写真。質感が良く没入感があるので気に入っている一枚で「D200 夜景」でググるとこれが出てくる。今回S5 Proを用いて同じカットで撮ったのが左側の写真となるが、電球色の表現が違うため雰囲気が異なる仕上がりになる。
シグマ35mm F1.4 HSM Artが解放から解像するためISOを下げられ、被写界深度の浅さで没入感も出せる。オールドデジカメも高性能レンズと組み合わせると性能的に噛み合うため、ロートルながら意外と戦えてしまう。
しかしこの二枚。比較用として撮り比べたのはいいのだが写真としての出来が全然違う。右側(D200)の方が断然いい写真。何カットか撮影するも結局最初の一枚がベストショットになる現象は割とあるあるだと思います。
1枚目のスポットライト。ここでもS5 Proは少しシアンが感じられる。
NG集(ダメだったやつ)
比較になってなくてダメだった写真達。街は生き物なので絶えず変化していて、半年も経つと結構変わっている部分もある。
曙町の一角。手前のやきそば屋が閉まっていたためダメだった。
これは道路照明灯が従来のナトリウムランプのものから白色LEDに置き換えられてしまったパターン。露出も違うのだが、それ以前に明らかに暗かったので「んん?」と思って気付いた場面。
樹がなくなっているパターン。露出も違うのだが、これはそれ以前にどうしようもないww
まとめ
D200とS5 Proは見た目こそ瓜二つのカメラなのだが、両者を撮り比べてみるとあらためて別のカメラだとわかる。D200とは傾向や性格が異なっており、結果として用途が違うのも納得。
S5 Proはポートレートを得意とするカメラなので赤みが抑えられていて、これで夜景を撮るとこんな感じになる。ほぼ同じでハード構成でレンズも同じなので絵の傾向こそ似ているが、カラーバランスがかなり異なるので出てくる絵は違った印象を受ける。
ただこのフィルムシミュレーションのF2は、現行機でいうベルビア(ビビッド)なので色は濃い目に出ている。このカメラの本領としてはやはりダイナミックレンジ拡張設定ができるF1のモードだろう。次回以降このF1モード取っていきたいと思う。
おまけ(本編?)
まったく同じカットだけではつまらないので新規カットも少し撮りました。
この写真もニコンD200との違いを感じる一枚。伊勢佐木町7丁目にある一六地蔵。この7丁目では夏季期間の1と6の日に縁日が行われており、すぐ近くの富士見川公園と合わせて地元の人で賑わう。筆者も幼い頃よく連れて行ってもらった。
筆者が小学生の頃、この縁日にはどんなおもちゃも100円で売っている100円おじさんという伝説の人がいて、いつも子どもに大人気だった。パッチンガムやら、水鉄砲やら、ようかいけむりやら、筆者もいろんなおもちゃをもらったものだ。この地域で育った子ならみんな知っている。
この100円おじさんだが、実は横浜ローカルの有名人だったことに驚愕している。ゆずの「夏祭り」にはこの人がモデルとされる歌詞があるのだ。岡村なのでさもありなん。さらにはまれぽにはこの人へのインタビュー記事もある。
当時の100円おじさんのワクワク感は相当なもので、きっと多くの少年少女たちが魅了されたはずだ。それから時が経ち筆者も大人になったが、隙あらばヤフオク、メルカリ、アリエクで同じようなものを探しており、まるで成長していない。
用事があったためその回収を兼ねて黄金町駅から戸部駅へ。平沼・戸部・高島町の裏横浜エリアは割と穴場スポットで、落ち着いた雰囲気がある。
戸部駅からそのまま高島町を経由して横浜駅へ。喧騒を避けたい人はコチラの方が落ち着いて楽しむことができるだろう。締めはアソビルでラーメンという方法もある。カロリーと塩分に余裕のある人は。
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