久々に光り物シリーズの回。今回は知る人ぞ知るウランガラスの世界。
超省スペースなクリスマスツリー
この間ニトリに行ったら例の「ハーフツリー」が売っていた。普段はあまり見えない後部分をはんぶんこして省スペース&低価格を実現したクリスマスツリーなんだけど、あまりにも超合理的すぎて衝撃を受けた。
スゲーなコレ!目からウロコ過ぎる。これ壁際専用にすれば1/4ツリーもいけるんじゃないか。
しかし光り物オタクの我が家にはさらに省スペース&薄型なクリスマスツリーがあったのだ。コイツだ。
Bljoux M.G ガラスツリー
これはチェコのガラスビーズを繋いで作られたガラスツリーになる。高さは21cmと1/100スケールのZガンダムくらいの大きさで、結構見ごたえがあるが、厚さはわずか2cm程。台座もあるので一応自立もする。
チェコはボヘミアンガラスで代表されるようにガラス細工が盛んで、チェコビーズ(ラインストーン)が使われている。要は模造宝石(宝石の代替品)なのだが、オーバル、マーキス、ペアシェイブなど形状が多彩で立体的に見え、カットも良いのでなかなかの輝きを放つ。
このツリーはひとつひとつのガラスビーズがはめ込まれたツメ同士が半田付けされていて、簡単には石が抜けないようになっている。かなり凝った手仕事だがその手間がかかるので、たぶん現代では大規模な製造はできないかも…。
それもそのはずで、この子はアンティークものになる。このガラスツリーのメーカーであるBljoux M.G社は1950年代~60年代頃に活動していたジュエリーメーカーで、このツリーもおそらくその頃に生産されたものと思われる。
ブラックライトを当てると…
ガラスツリーは通常、赤や緑、オレンジなどの通常のカラーガラスが使われているのだが、中にはこのようなウランガラス(ワセリンガラス)が使われているものもある。
このガラスツリーのウランガラスは宝石の代替品として使われているものだけあって特に品質が高く、ブラックライトを当てるととても鮮やかな蛍光グリーンに輝く。1950年代製造当時はもちろんブラックライトなどあるはずもなく、これはもともと意図されていなかった楽しみ方になる。
スーパータクマーに代表されるオールドレンズもそうだが、長い時間を経て新たなギミックを楽しめるようになったアンティーク雑貨はロマンがある。なんだか葬送のフリーレンみたいでおもしろい。
そもそもウランガラスってなんぞ?
着色剤として放射性物質「ウラン」をごくわずかに混ぜたガラスのこと。1830年代にチェコで誕生し、ヨーロッパ各国へ広がったものだ。乳白色に濁るタイプのものあり、別名ワセリンガラス(ワックスガラス)とも呼ばれている。
主に黄色や緑色をしたガラスで、紫外線でこのガラスを照らすと蛍光現象により鮮やか輝きを放つ。なお「蛍光」とは簡単にいうと紫外線を可視光に変換する現象で、「蛍光灯」もその仕組みによる。最近はLEDに替えられてしまったが。
上記のようにブラックライトを当てて蛍光発光させるのがわかりやすいが、この蛍光は太陽光でもある程度実感でき、時間よって色の変化を楽しむことができる。特に朝焼けや夕焼け時はわかりやすい。
含まれているウランの量は微量で、ガラスで封入されているため健康上への影響は特にない。しかし曲がりなりにも放射性物質であるため、現在は新規に製造されることが難しいとされている。そのため今出回っているもののほとんどはアンティークになる。
なお放射性物質を含まないタイプの蛍光ガラスもありそうだが、あまり一般的でなく、雑貨用途としては出回っていないようだ。
カップ&ソーサー
それぞれアメリカのフェデラル社、ヘーゼルアトラス社のもの。コーヒーファンやアメリカ雑貨ファンには割とお馴染みのメーカーだが、前者は1979年、後者は1991年に閉業しているため、どちらも現行品はなくアンティークとなる。
これらアンティーク食器の中にはウランガラス製のものも存在する。手持ちのものだとフェデラルの方が蛍光が強めで、ヘーゼルアトラスは若干控えめといったところ。
なお似たものにグリーンガラスがあるが、こちらは蛍光物質が入っていないため、ブラックライトを当てても光ることはない。
筆者blueは持っていないが、シャーベットグラスなんてのもある。これでバニラアイスを食べればきっと昭和レトロな気分を味わえるだろう。カップだとあまりに合いそうな飲み物がないので、こちらの方がいいかもしれない。
ちなみにウランガラスは食器に広く使われていることからわかる通り、特に健康上の影響はない。ただ昔のガラス製品なので割れやすいところはあるかもしれない。上記のものはキャスト製なので厚手で、割れこそしないがパーティングラインも若干残っていて質感が少々残念。
合成ルビーとのコラボ
ウランガラスに関連して、合成ルビー(コランダム)もブラックライトで光る。蛍光反応を示す鉱物は意外と多く、合成ルビー(コランダム)以外にも、合成スピネル、フローライト、ピンクマンガンカルサイトなどは手ごろで入手しやすい。
ただ、さすがの合成ルビーもウランガラスの輝度にはかなわないようだ。
入手方法
ウランガラスはヤフオクやメルカリなどで入手できる。ごく稀にリサイクルショップに紛れ込んでいることもあり、ブラックライトを当てることで識別可能だ。
多くはカップ、ソーサー、プレートなどの食器などの日用品が多いが、中にはブローチやペンダントなど宝飾用途に作られたものもある。ブラックライトで強い蛍光を発するのは後者で、ガラスツリーに使われているのも後者となる。
また素材用で新しいウランガラスも流通している。これは日光や屋内照明下でも既に鮮やかな蛍光グリーンを発しており、ブラックライトを当ててももちろん蛍光する。
まとめ
久々の光り物グッズ特集となった。ウランガラスは知る人ぞ知る光り物グッズだが、オークションなどでは割とよく見かけるし、割と手ごろに入手もできるので好きな人はオススメ。この宝飾用のウランガラスは本当ギャンギャンに光るので楽しい。
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