前回に引き続き小江戸川越を探訪。「宵の川越」をシグマArtで撮り歩く。
■前回の記事はコチラ
撮影機材




前回同様ペンタックスK-3 IIIにシグマ17-35mm DG F1.8 HSM ARTを装着。25mmという広角域の画角でF1.8の明るさで撮れるため、ズームレンズでありながら最終装備の候補にも上がりうる。
一方で重さ810gと24mm F1.8のレンズとして考えると重く、ボケが騒がしいという弱点もあるため使う状況や被写体にもよるかもしれない。
このレンズで撮った写真


夜の川越街道。コンビニのイートインで休憩してから再度戻ってきたところだが、割と店仕舞いが早く8時にはもう閑散としている。やろうと思えば三脚持ってきてじっくり撮れるまである。
ちなみにどのカスタムイメージで撮ったのかは、すみません忘れてしまいました‥‥。これ撮ったの一年前なんですが、忘れているという。「里び」のまま撮っていた説もあるのだがいかんせん怪しい。なんだっけ~






ただしスナップ夜景として上々の仕事ぶりで、やはりF1.8まで使えるというのは強い。多少遠慮気味にF2で使っても普通に解像はするし、フリンジもないので普通に使えると思う。
ボケが騒がしい欠点はあるのだが、夜景を手持ちで撮るという使い方であればこのレンズとそこそこ年式の新しいカメラの組み合わせがあれば達成はされると思われる。






小江戸・川越を彩る看板の数々。実態はLEDではあるのだが灯篭のようになっていてなかなか風情がある。
このレンズはズームレンズなので、足で歩くほかに画角を操作できる。APS-C換算で25.5~52.5mmくらいは出来るので、狭めの広角~標準はレンズ側で合わせることができる。
普段使っているのが単焦点レンズばかりなので忘れがちだが、これは想像以上に便利だ。ズーム倍率自体は2倍と大したことがないものの、引きでも寄りでも撮れる利便性はこのレンズならではの長所といえる。



旧国立八十五銀行本店のところまで戻ってきた。ライトアップがなされていてなかなか荘厳だ。ディ〇ニーとかUSJのアトラクションみたい。
なおペンタックスで使えるシグマArtレンズには、SIGMA 30mm F1.4 DC HSM Art があるのだが、このレンズがあることで30mmはあまり選ばれない傾向がある。
それは純正のFA31mmの存在と、ズームで兼業できるこのレンズの便利さによるもので、35mm~50mmのあたりはサードパーティも考慮すると割と激戦になっている。実際私もこのレンズを入手してから30mmの出番が減ってしまったような気がする。








仲町交差点まで戻ってきた。ここから街の雰囲気や街灯の色が変わっていて、エリアが違っていることを示しているようで面白い。
この大正ロマン夢通りの突き当りある屋敷は、左:銀残し 右:里び で撮っていたような気がする。銀残しはかなり渋い仕上げでローキーかつハイコントラストなのでこうした屋敷のような被写体を取ると雰囲気が出る。
大正ロマン夢通り





ここも夜の世界は昼間とは打って変わった雰囲気がある。一見変哲もない商店街に見えるが、独特の品の良さがあり、昼白色の柔らかい光が優しい雰囲気を醸し出す。不思議と落ち着く空間になっている。
クレアモール




そのまま川越駅を目指してクレアモールを進む。このあたりまで来ると観光地感は薄く、普通の繁華街といった様相になる。ただし長さが尋常でなく全部繋げると1,200mにもなる。これは武蔵小山パルムの800mを優に超え、戸越銀座1,300mにも迫る長さだ。
ここは脇道に逸れた一角で、いつもの飲み屋さんゾーンになる。またこの辺からカスタムイメージを「鮮やか」に戻している。



クレアモール出口。繁華街だが脇道に逸れるとガッツリ暗いのでびっくりする。撮影で興に乗ってしまったため結構長居をしてしまい、この時点で21:30を回っているため結構焦っている。
川越駅



そのまま川越駅へ。東武東上線─副都心線─東急東横線の直通ラインがあるためアクセスが便利だが、筆者は神奈川県民のためこの辺の路線事情が疎くあまりよくわかっていない。
通常神奈川・東京方面から来る場合は和光市駅を通るのだが、乗っていた電車がその手前の小竹向原駅で分岐し練馬に運ばれてしまい、焦って池袋方面に戻ったらそれが西武池袋線だったため、通ってきた小竹向原駅を介さずに池袋駅まで直送されるというトラップを食らって焦った。
そしてこの池袋駅だが、東武東上線池袋駅と西武池袋線池袋駅は別物で、改札も離れているため余計時間を食った上にお金もかかったという思い出がある。これは初見殺しにも程がある。
この小竹向原駅はサジェストでカオスって出てきたのだが、成り立ちを調べたら確かにめっちゃカオスだった‥‥。この記事を読んで盛大に笑った記憶がある。
アンダーで撮った場合




このブログをやっていて悩むのはこういった被写体。これは撮っている最中に迷うし、ブログで掲載するときもさらに迷う。これは筆者の腕の問題になるのだが、一眼レフカメラだったり、ストロボ撮影だったりすると迷いやすいかもしれない。
背面モニターの明るさと、PCやスマホのディスプレイ上の明るさは一致しないこともあるので、カメラで撮った絵が適正露出と思ったら実はアンダーだったという例が割とある。初期の頃に上げた記事でたとえばこれなどはそうだ。
さらに厄介なのが、絵に上げた時ジャスト露出とアンダー露出でどっちも良い場合。これはもう好き嫌いになるのだが。左右で甲乙つけづらく判断に迷ってしまう‥‥。
まとめ(長文注意)
古いズームレンズだがこのレンズのポジションはなかなか面白く、唯一無二性があって好きなレンズである。描写性能もさることながら独自の立ち位置という点が気に入っている。シグマとしてもヒットしたレンズだったらしく、出た瞬間から売れたらしい。
ペンタックスの大口径広角レンズとして
まずこのレンズはズームレンズでありながら、ペンタックス用の大口径広角レンズとして最終装備の選択肢に入り得る。
ペンタックスを取り巻くレンズロードマップである。開発リソースやサードパーティの参入状況の関係で新作レンズが少なく、特に広角レンズが少ない状況にある。換算25mmという広角域でF1.8の明るさを出せるのは純正単焦点を差し置いてこのレンズしかないという状況になっている。
これは初代ファミコン版ドラクエ2でサマルトリアの王子の最終装備がてつのやりになってしまっているような状況で、なんとも締まらず悲しい状況なのだが、この体たらくが何ともペンタックスらしくて面白い。
オールドデジカメのメインレンズとして
他方、ニコンD200のようなCCDセンサー機のメインレンズとして使える点も面白い。オールドデジカメに興味を持つ人も多いが、筆者のようにFマウント時代からやっていて、Zマウントに流用しているようなユーザーは別として、今更Fマウントのレンズをイチから揃えるのもどうかと思う。
Zマウントから入った人が、とりあえずFマウントのオールドデジカメで遊ぶならこのレンズが一番いいだろう。換算25.5mm~52.5mmを全てF1.8通しで撮れるので、明るさも画角もとりあえず苦労はしないだろう。
Xマウントのメインレンズとして
このレンズの後継品に17-40mm F1.8 DC ARTというレンズが2025年に発売されているが、富士フイルムXマウントのメインレンズ候補としても有力となる。
富士フイルムにはフルサイズ機が存在しないため、このレンズを導入するかどうかの葛藤が少なく迷うことがない。そしてXマウント機には強力な手振れ補正を搭載している上、レンズ側で重量が280gも軽量化されているので取り回しに非常に優れている。
フラグシップ機のX-H2Sの重量はカード・バッテリー込みで660g、レンズで530gと1.2kg弱に収まる。これで換算25.5mm~60mmをF1.8通しで撮れてしまうのは驚異的である。何でも撮れる上、見た目や重心バランスもカッコよく取り回しもいいので、これでアガリになってしまう可能性すらある。
F1.8通しとAPS-Cの相性の良さ
このレンズの面白さはF1.8通しとAPS-Cの相性の良さだろう。APS-C機に求められる気軽さや機動力という性格に、このレンズの機能や性能面が噛み合いすぎているのだ。
フルサイズの場合、F1.8通しを作るとイメージサークルを確保する問題からレンズがかなり大きく重くなってしまうため機動性は損なわれる。そしてどうせフルサイズを持ち出すならはじめからF1.4の単焦点買うわという問題があるので、魅力的な選択肢にはなりづらい。
そんなわけで、フルサイズ用のF2通しレンズはぶっちゃけあまり売れないらしいとか。Xで社長がぼやいていたのを見たことがある(笑)
この点APS-Cなら最高画質やボケを求めるわけではないので、F1.8が出せるならズームでもいいか、となる。そしてAPS-Cであればレンズ本体もかなり小型化できる。APS-C機とこのレンズ1本で、フルサイズ機+F1.4レンズ数本と「同じもの」が撮れてしまう。これは超悩む。
同じ被写体が撮れることと、同じように撮れることは当然異なるのだが、持ち出す機材の量や撮影効率を考えるとこの選択肢は非常に魅力的だ。F1.8通しのような大口径ズームはAPS-C機でこそ輝くと言わざるを得ない。実際使い勝手の良さに驚く。
コメント