三脚が無くても手持ちで展望撮影ができてしまう。─そんな魔法のようなレンズがあったなら。
横浜ランドマークタワー 展望台 「スカイガーデン」
今回のお題は展望夜景。これを三脚を使わずに手持ちでどこまで撮れるのかという試み。
横浜にはいくつかの展望台があるが、この横浜ランドマークタワー展望台、スカイガーデンのその中でももっともポピュラーなスポットとなる。
■施設概要(※2023年10月時点)
入場料 | 大人1000円 小・中学生500円 65歳以上800円 |
営業時間 | 10:00~21:00(最終入場20:30) ※土曜日のみ10:00~22:00(最終入場21:30) |
三脚の使用 | 可能 ※花火大会など特別な日は不可 |
アクセスは便利で、みなとみらい線 みなとみらい駅か、JR根岸線 桜木町駅、横浜市営地下鉄線 桜木町駅のいずれからでも来れる。みなとみらい線は東武線や副都心線直通で来れるので便利。
内部はこんな感じ。高さ273m、地上69階に位置し、東西南北360度の大パノラマを楽しめる。5年前くらいからみなとみらいにビルが建ち始め、市役所庁舎も建ったため、夜景がグレードアップしてお得感がある。
照明は間接照明やスポット照明になっているためくつろぎやすい雰囲気になっている。ところどころ薄暗いエリアがあるため夜景撮影はやりやすく、この暗がりに入ればグレア(映り込み)を抑えることができる。
入場料は大人で1,000円(※2023年現在)とかなり良心的。渋谷ヒカリエや六本木ヒルズの半額程度で楽しめる。三脚も特段何もない日はもちこみできる。東京タワー(1,200円)もそうだが古くからある超高層ビルは価格設定が良心的でうれしいところ。
撮影機材
ニコンZ7にシグマ40mm F1.4 Artを装着。手持ちの機材の中で一番高感度性能が高い組み合わせ。
このレンズはもともとシネレンズ用の光学設計を流用して作られたレンズで、絞り開放から周辺四隅まで解像し、各収差も発生しにくいため展望撮影や星景撮影にうってつけといえる。
本来はFマウント用レンズだが、FTZ(FTZ2)を噛ませれば問題なくAFは動作する。またZ7はボディ内手振れ補正を搭載しているのだが、これがかなり優秀で、1/15秒くらいなら高確率でブレずに撮ることができる。新型のZ7IIが出てるので中古は割と手が出しやすいのもいい。
このレンズで撮った写真
スカイガーデン69階から撮影。絞りはすべて開放のF1.4。シャッタースピードはボディ内手振れ補正のあるZ7なら1/15秒くらいならほぼ安定する。ISOは1250~、暗いところも2500で撮れている。
前回、前々回でテストを踏まえたこともあるが、展望台撮影でも期待通りの凄まじい画質の写真に仕上がっている。いずれも中央から四隅に至るまで解像しており、とても手持ち撮影で、それもF1.4の絞り開放で撮った写真とは思えない圧巻の写りをする。
東側(みなとみらい・横浜方面)
東方面はみなとみらい・横浜駅方面を望む。最近このあたりは最近再開発があり、5年前とは姿がまるで別物となっている。ウェスティンホテル、村田製作所、LG、資生堂、京浜急行、神奈川大学などのビルが新しく仲間入りしてかなり見ごたえのある風景になった。
以前はジャックモール、住宅展示場、セキチュー(ホームセンター)、中古車販売店、オートバックスなど田舎の国道感丸出しだった。でもそれはそれで結構好きだったし、併設のセキチュー併設のスーパーは肉がやたら充実していて重宝していた。
当時を知る地元民からすると一抹の寂しさを覚える景色でもある。推してた地方アイドルがメジャーデビューしてドームやって手が届かなくなってしまったようなそんな心持ちはちょっとある。あ、そういえばZeppもできたね。一昔前は横浜BLITZだったよ(なつい)
南側(保土ヶ谷方面)
南側は御所山・保土ヶ谷方面を望む。こちらの方面は丘稜が多くもっぱら住居地域のため高層建築物が少ない。そのため見通しの良いパノラマが楽しめる。この時期は湿度が低めで空気が澄んでいるので特におすすめ。日没後となってしまったがコンディション自体は良好だった。
写真中頃の明るい建築物は神奈川県立音楽堂、神奈川県立図書館、神奈川県青少年センターなどの文教関連施設で、付近には結婚式場、能楽堂、掃部山公園などもあるため、好きな人は訪れる機会が多いスポットかもしれない。図書館は最近リニューアルされたのでとても快適だ。
こちらの方角のエリアは階段状のラウンジになっていて、明るい場所が多く写り込んでしまうためなかなか難しかった。撮るなら何かしらの装備を持って行った方がいいかも。(※記事下部参照)
西側(関内・石川町方面)
西側は関内・石川町方面を望む。いわゆる旧市街でもっとも横浜らしいエリアとなる。手前に立っている二棟の超高層ビルは、右側が横浜市役所の新市庁舎となる。スタジアム前の旧市庁舎からここに移転してきた。
財政余裕ないのにようやるわとも思うが、旧庁舎だと入りきらなくて付近民間のビル間借りしまくって窓口がわかりにくくて不便だったし仕方のない部分もある。結構遅くまで明かりがついていて結構頑張っている印象。まあ人口多いしそりゃそうなるよね。
左側の建物はタワーマンションの「ザ・タワー北仲」となる。商業施設の「北仲ノット」が併設されている高級レジデンスで、46階の展望台は一般開放してくれている。ここも後で行ってみる。
北側(コスモワールド・鶴見方面)
北側は臨港パーク・湾を挟んで鶴見方面を望む。コスモワールド(遊園地)、インターコンチネンタルホテル、ワールドポーターズ、結婚式場などがある。
みなとみらいでも古参の地域で、東側が横浜方面まで軒並み更地だったころから建築物が立っている。コスモワールドの観覧車が花を添える。なお奥の光が密集している辺りは東京都内で、天気がいいと東京タワーやスカイツリーも見ることができる。
3300kで撮影(タングステンフィルム風)
最後に色温度を3300Kに下げて撮影。クールで涼しい感じになる。ニコンの低色温度帯は真っ青にならず、ペンタックスのように緑色にかぶれることもなく、フジのようにコッテリにもならず、実にちょうどいい塩梅で心地よい。
見慣れているせいもあるかもしれないが。ミント味のガムやタブレットは普段食べ慣れているのが一番と思っているが、その感覚は多分にあるかもしれない。
余談だが、blueは夜景のホワイトバランスはラーメンの「タレ」のようなものだと思っている。5000kがしょうゆなら、3000kは塩、6500kはみそ、みたいなイメージだろうか。味変すると同じ風景でもまた雰囲気が違って見え、一粒で二度おいしい。
まとめ
想像以上の結果になった。絞り開放から躊躇なく使えることと、ミラーレス機の手振れ補正がまさかこれほどの効果を発揮するとは…。
三脚を用いなくてもこの光量・画質で撮れるのはかなり画期的だ。高層ビルの展望台は、東京都庁のように三脚もこみち禁止の施設も多いのだが、このレンズならば三脚がなくても力業でここまで撮れる。三脚を持っていく余裕のないシチュでも行けるので新たな可能性を感じる。
40mmという焦点距離も広すぎず狭すぎずで丁度良く、展望台撮影において現状最も適したレンズの一つと言えるだろう。1200gの巨体というデメリットはあれど、ともあれこの写りはすごい。
向かいに立っているザ・タワー北仲でもテストしてみることにする。その様子は次回にて。
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今回はフィルター無しで撮っているのだが、やはりグレア(映り込み)はそれなりにあるので、抑制グッズは持って行った方がいいだろう。撮影効率がよくなるし、構図の自由度も上がるので思い通りの写真を撮りやすくなる。
シグマ30mm F1.4 Artで三軒茶屋キャロットタワーを撮影した際にも述べたが、C-PLフィルタとラバーフード(または忍者レフ)があるとかなり撮影は楽になる。
ガラス面を覆ってしまうのがはばかるならば、とりあえずC-PLだけでもあればそれだけでも結構違う。
リンク
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