前回の続き。パンケーキレンズに高円寺のマジックアワーを添えて。
スペック
焦点距離 | 23mm(換算35mm) | レンズ構成 | 11枚10群 |
最小絞り | F1.8 | 絞り羽根枚数 | 7枚 |
最大絞り | F16 | 寸法 | 65×72mm |
最短撮影距離 | 45cm | 重量 | 250g |
フォーマット | APS-C専用 | フィルター径 | 52mm |
どんなレンズ?
フィルムカメラのNikon EMと同時に発売したレンズ。いわゆるキットレンズのような位置付けになるが、EMが発売したのが1980年のためかなり古いレンズになる。そろそろオールドレンズと呼んでも差し支えないかもしれない。
昔NewFM2を入手した時に一緒についていたもので、カビやクモリもないため本体そっちのけで普通に使っていたりする。マウントアダプタでがちゃがちゃ遊べることもあってミラーレス時代になってから出番が増えた一品。
「パンケーキレンズ」と呼ばれる薄型設計のレンズで抜群の携帯性が持ち味。それでいて歪曲収差や色収差が少なく描写が素直で使いやすい。絞り羽根が7枚と奇数のため、三脚撮影した際の光芒が多いのも個人的に好きなポイント。
ニコンFマウントのパンケーキレンズでは他にはGN Auto NIKKOR 45mmF2.8、その後継品のAI Nikkor 45mm F2.8Pも有名。こちらはテッサー型でさらに薄い。後者は一時期プレミアがついていたため多少高いのがネック。
機材構成
FTZを介してZfcに装着。元が薄型なのでマウントアダプタを挟んでも十分小型で違和感のないサイズ。
にしてもFTZは(FTZ2も)もう少しデザインを作り込めばいいのにと思う。これはすごくもったいない。焦点工房の方がよっぽどニッコールしてる。この組み合わせを見てちょっとほしくなってしまったではないか。
入手方法
オールドレンズなので当然中古品のみ。ただし玉数は多く中古カメラ屋に行くとまず置いているレベルで入手は容易。価格もこなれているのでMFレンズ入門としてもってこい。
ミラーレスカメラになってフォーカシングがしやすくなったのでMFレンズは敷居が大きく下がって実用性が増した。またマウントアダプターでニコンユーザー以外も気軽に楽しめるになった。
過去の遺産が技術進歩の結果、再び脚光を浴びて活用されるムーブメントはすごくいいと思う。
マウントアダプター
ニコン用のマウントアダプターはFTZやFTZ2があるが、AF対応している一方で高価でデザインがもっさいという欠点がある。MFレンズの場合はAFは当然効かないし、古いレンズは電子接点もないので実のところあまり使うメリットがない。
そんなわけでMFレンズの場合はサードパーティのアダプタを使ってもいい。安価でデザインも選べる。焦点工房のシリーズはAi Nikkorっぽくデザイン的にも〇。Zfcにもバッチリ。
このレンズで撮った写真
夕暮れ時の高円寺を撮影。ここも一度撮って消えたものでその撮り直しとなる。午前中に八王子みなみ野⇒片倉⇒相原と撮って回ってからのここである。元気だなぁ。
ピクチャーコントロール
Zfcにはピクチャーコントロールがかなり大幅に追加されている。「ビビッド」や「ソフト」などトーンが変わる従来の機能の他カラーフィルターのような機能がプリセットされている。ペンタックスやフジでも似たことはできるが、パラメータをいじらなくてもいいので親切。
人通りが多くそのまま撮るのははばかるためとりあえず試してみたもので、青系のもので「デニム」と「ブルー」はお気に入り。それからグレートーンのもので「サイレント」はわずかに色味がある。これも好きかも。
ニコン機で夜景を色温度3300kくらいで撮った時のややくすんだ青緑は好きで、これらもそれ似た雰囲気や味付けを楽しめる。
色々試した結果「ブルー」がお気に入りだったので日が暮れるまでしばらくこれで電線を撮って遊んでいた。他には「トイ」なども面白そうだったかも。
高円寺北中通り商栄会
日が落ちてきたのでピクチャーコントロールを元に戻して撮影。遠くに伸びている鉄塔がどことなくノスタルジックな雰囲気を醸し出す。
APS-C換算で75mmの画角とものすごい望遠というわけではないのだが、意外と多くの電線を巻き込めている。高円寺は商店街などの見通しのいい直線が多いので、中望遠画角で撮りやすい。
中通りにある老舗の洋食屋さん。歴史を感じさせる佇まいが素晴らしい。
blueは基本的に撮影欲と食欲が両立しない人間で、かつ下戸なこともあり、カメラを持っているときはマックや牛丼屋で済ませてしまうことが多い。まだ撮影中だったので断念したが、ここはちょっと入ってみたかった。
基本的に夕方から開いているお店で昼は日曜日しかやっていない。水曜日と木曜日がお休み。(個人的メモメモ)
先ほどの床屋さんのところまで戻ってきた。今日の一枚はこれかな。
エトアール通り
高円寺駅南口のパル商店街をしばらく道なりに進んで、中ほどを右に曲がったところの通り。さっきのピクチャーコントロールを試していた辺りの商店街だ。
こちらも日が暮れて提灯が灯り始めていた。特にお祭りとかではないらしいが写真的には美味しい。マジックアワーの青と対比になっていて絵になる。
まとめ
絞り開放で撮るとオールドレンズらしい柔らかな写りをするため、こうした昭和の香りのある風景と相性が良い。その一方で色収差が抑えられており、パープルフリンジがでにくいのは素晴らしい。APS-C機のZfcで抑えられているのは大きい。
F5.6くらいまで絞ると解像度は改善するので、絞り値によって表現を変えることもできる。昼間に絞って使うとまた違った表情が撮れるだろう。
ニコンのオールドレンズで50mmは数種類あるが、安価で扱いやすく、パンケーキレンズということもあってキャラが立っているのでおすすめのレンズ。フィルムカメラを始めたい人はこれがセットになっていることもあるので合わせて入手するのも一興。
このまま駅前に戻って今度は純情商店街方面へと向かう。続く。
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