【レビュー】REDWING 9011 BECKMAN(旧ベックマン)

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靴関連

カメラの友ということで靴について語ってみる。まずは13年連れ添ったレッドウイングのベックマン。

どんなモデル?

 アイリッシュセッターやエンジニアブーツなどで有名なレッドウィングのワークブーツ。レッドウィング社の創設者、チャールズ・ベックマンの名前を関したブーツで、1910年代のブーツをモチーフに作られたモデルとなる。

そのためラインナップの中ではクラシックかつドレステイストの強いモデルとなっている。2006年に発売して以来、何度かのバージョン変更を経てレッドウィングの看板モデルとなっている。一度2022年頃にディスコンしたが、2024年にリニューアルして再登場した。

カラーはブラック、ブラックチェリー、シガーなどを展開していて、通常のモデルよりもやはりドレッシーな雰囲気を纏っている。

バージョンの話

 ベックマンは2006年に初代が発売して以来マイナーチェンジが行われている。概ね初代・旧型前期・旧型後期・新型(2024~)の4バージョンがあるらしい。新型はサイバー攻撃やコロナで2022年に一度終売した後、リニューアルされたモデルとなる。

初代ベックマン(RW1910、1911、1913、1914)はホーウィン社のクロムエクセルが使われていて艶感は素晴らしかったそうだ。油分も多いため馴染みやすいが傷がつきやすいので扱いにはやや気を遣った。製造での歩留まりも悪かったためこのモデルはすぐ廃盤となり、そのため数が少ない。

その後旧型(9011,9013,9014,9016)は2007年~2022年に販売された。フェザーストーンという上質な革素材が使われていて、特に旧型前期の評価が高いらしい。筆者の持っているものは2012年あたりの値上げ前に駆け込みで購入したものだが、風合いは出るようだ。


新型(9419、9422、9423)は2024年以後のもので、エクスカリバーという素材が使われているという。オイルドレザーのためエイジングは早いらしい。上3つがフック仕様となり、ソールは加水分解しないものに変更、インソールはかかとがポロンになるなど細かい箇所も変更されている。

ベックマンは新型と旧型とでラストが違うので実質違う靴になる。旧型は8番ラストというものが使われているのに対して、新型は224ラストが使われており、つま先から甲部分が少し狭くなっている。なお8番ラストは現行品だとブラックスミス(3343,3345)で使われている。

ディティール

全体像

ワークブーツだが適度にドレッシーで履きやすい。オロラセットの8875(アイリッシュセッター)と比べるとラギッド感はかなり抑えられており、コテコテのアメカジ感は薄い。着こなし方や育成次第ではジャケットスタイルにもいける。

スタジャンやカーゴパンツのようなアメカジスタイルももちろんハマるため、どのようなファッションにも合わせやすい靴と思う。コーデにおける守備範囲の広さはこの靴の魅力だろう。


一方で弱点もあり、この前期型に関してはソールがウレタン製のため加水分解する。わざわざ中古で前期型を入手する場合ハーフソール交換はほぼ必須となる。ヒールも削れてくると結局オールソールになるので、そこは覚悟した方がいい。

なお現行型については素材が改善され加水分解のリスクは低くなった。

ブラックチェリー

 ベックマンブーツを語る上で出てくるのは色だろう。紫がかったバーガンディカラーのブラックチェリーはかなり鮮烈だった気がする。それまでのレッドウイングといえば赤茶色のオロラセットかブラックの二択である。あとはせいぜいブラウンくらいしか選択肢がなかった。

このブーツが発売した2006年は、まだこの色カラーやキャラクターの該当する中位モデルがなかったのだ。ブラックチェリーといえばまず思い浮かぶのはドクターマーチンだろう。あるいはホワイツ・セミドレスという人もいるかもしれない。


しかしドクターマーチンのバウンシングソールは耐久性には優れているものの基本的にはリソールができない。ホワイツセミドレスはリソールできるもののさすがに高すぎる。重量も重たいので大学生あたりの若い人気軽に履ける靴でもなく、普及するまではいかなかった。

ベックマンはこの普及価格帯のレンジに、ブラックチェリーのカラーとドレッシーなディティールを引っ提げて登場したためかなり売れた。レッドウイングはこの中価格帯におけるセミドレスポジションを確立した。当時の代表は「過去10年で最も売れたモデルのひとつ」との述べている。

上を見れば本家ホワイツ・セミドレスはいるし、横を見ればウルヴァリンの1,000マイルブーツ、チペワの1939 6inch Service Boots、ダナーのオカントなど、似たコンセプトのブーツは出たが、知名度と存在感でいえばやっぱりベックマンだとは思う。

プレーントゥ

 オーソドックスなプレーントゥ。この個体はオーバーサイズで履いており、シューツリーも使っていなかったためヴァンプには履き皺が入っている。

この皺部分は銀面のクラック防止のため、ジュエルのブーツオイルを軽く入れている。プルアップレザーほど吸わないがフェザーストーンもそこそこ油が入るようだ。

アイレット

 旧ベックマンは7ホールすべてアイレットになっている。ジーンズの裾をひっかける心配がないので個人的にはアイレットの方が好き。脱ぎ履きもそれなりに行っていると慣れる。

旧ベックマンのシューレースは蝋引きのものが付いてくるが、この蝋がかなりガッツリついていて好みが別れるところだった。筆者はこれもベックマンの個性と思っていて割と好きだったのだが、不満に思う人もいたようだ。

このシューレースは最近では改善されていて、蝋引きが薄くなっていて無難なものになっている。レッドウィング公式やamazonなどで買えるので痛んできたらここも替えるとよい。

ソール

 ソールはユニオンワークス様で一度リソール(張替え)してもらっている。純正のものはセパレートタイプのものが付いたが、今回はミッドソールを1枚積んでダブルソールとした上で、ダイナイトソール(ブラック)で誂えてもらった。

ちょっとレッドウィングっぽくない感じもするがそのギャップがカスタムっぽい雰囲気でまた良い。トップリフト(ヒール)の素材が固いので歩くとコツコツ音が鳴るのも良い。


履き心地

US9.5 Dワイズを履いている。これは筆者が若造だった時に買ったもの故にサイジングが合っておらず1サイズ分オーバーサイズになっているためだ。ブーツはくるぶしとかかとで履くのでオーバーサイズでもかかとが浮かなければ履けてしまう。

ただしオーバーサイズだとヴァンプの履き皺が深くなってしまう。当然シューツリーなんぞ使ってないかったから猶更である。若気の至りだ。

それに気付いた現在はインソールを入れて履いており、こうするとちょうどよい。Dワイズなのでジャストで履くとそれなりにタイトかもしれない。

ホワイトセミドレスとのショット

 ホワイツセミドレス(右)と並んでのショット。このセミドレスはメルカリで購入した中古品で、同じくブラックチェリーでアッパーはクロムエクセルとなる。

ベックマンのソールが加水分解で大破した際に割安だったので代替品として入手したのだが、壊れたままのベックマンを放置しているのも、中古ジャンク品として売却するのも忍びなかったので、結局直してもらって使い続けることになった。


見た目やキャラクターの似ている靴だが、手に取って履いてみると実は個性が結構異なっている。立体感や細部のカッコよさ、アメリカンワークブーツとしてオーラはやはりセミドレスだが、ベックマンも13年間履いていただけあって風格では負けていない。

特に素晴らしいのはフェザーストーンレザーの質感で、艶や色ムラ、濃淡がありながらも、表面は堅くてハードユースに耐えうるものなので割と唯一無二な感じはある。ジャストサイズでもう一度履いてみたいくらいである。

入手方法

新型(9419、9422、9423)

 現在のお店で新品入手できるモデルは、後期ベックマンと呼ばれるもので型番でいうと9419、9422、9423になる。前期ベックマンからは革素材は変更されておりエクスカリバーという革が使われているとのこと。オイルドレザーで味が出るのは早いようだ。

また革以外にもラスト(木型)が変更されており224番ラストが使われている。これは旧ベックマンに使われていた8番ラストよりも内反りが緩く、つま先と甲周りがタイトになったため、旧型と比べると事実上別の靴といえる。また上3つのハトメはフックに変更された。

旧型(9011,9013,9014,9016)

 旧型についてはディスコンにつき中古品になる。ヤフオクやメルカリも検討する必要がありそうだ。ただしあまりおススメはしない。理由としてはアウトソールが加水分解するため張替えの必要があることと、前期型と後期型で経年変化の傾向が異なっているためである。

ブーツや中古品売買に慣れている人向けになるだろう。前期型は染色のみなので次第に色は薄くなってくる。後期型は染色+塗装なので色は残りやすいが、のっぺりしやすいようだ。

旧ベックマンが欲しい人はヤフオクメルカリで頑張ろう。なお従来の8番ラストの使われたモデルにはブラックスミス(3343、3345)がある。旧型ベックマンに近い履き心地が欲しければこちらを検討するのもありかもしれない。

メンテナンス

この靴はモゥブレイのニュートラルで靴磨きをしている。ただしトゥは傷が入っているので、瞬間接着剤で埋めたり、コロンブスのカラーリペアで補色をしたりしながら気長に付き合っている。

またオーバーサイズゆえにヴァンプやヒール付近の履き皺、インソールのクラックが気になったため、ジュエルのブーツオイルを適量塗り込んでいる。オイルドレザーよりはやや時間はかかるがちゃんと吸ってくれる。

アウトソールについては前述の通りユニオンワークス様でダイナイトソールに貼り替えてもらった。

まとめ

 割と気に入っているワークブーツになる。理由としてはクラシカルな雰囲気とブラックチェリーの色で、ジーンズ、チノ、ツイル、スラックスとどのようなボトムスにも合うため、汎用性が高く使いやすいのが理由だろうか。

筆者はカメラが趣味ということもあって割と外出する機会が多いが、この靴はかなりお世話になった。オーバーサイズで履いていたこともあって手放すことも考えたが、結局修理してもらって履き続けるに至っている。

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