ついに中華レンズなるものを知ってしまったblue。その魔力と激安に抗えず人柱レビュー。気になる性能は果たして…!
銘匠光学 機材紹介 TTartisan 50mm f2
スペック
焦点距離 | 50mm | レンズ構成 | 5群6枚 |
最小絞り | F2 | 絞り羽根枚数 | 10枚 |
最大絞り | F16 | 寸法 | 60mm×35mm |
最短撮影距離 | 50cm | 重量 | 約210g |
フォーマット | フルサイズ | フィルター径 | 43mm |
深淵なる中華レンズの世界
銘匠光学という聞きなれないメーカーのレンズであるが、いわゆる中華レンズである。中国には中一光学、七工匠などの複数のレンズメーカーがあり、コアファンの間で人気になっている。この手のMFレンズやアダプター遊びはソニーEマウントや富士フイルムのXマウントで盛んらしい。
自身はミラーレスを使っていないことから意外と知らなかったのであるが、中華ガジェット大好きマンのblueとしては見過ごせるはずもなく、そんな遊びがあることを知った瞬間狂喜乱舞して食いついた。
その場で調べまくり、フルサイズに使えて安くて小さくてZマウントに合うものがないかを検討したところこのパンケーキレンズに辿り着いた。MFレンズだがそこは慣れれば何とかなるだろう。
ニコンF7に装着
ニコンZ7に装着したところ。小型軽量なのでミラーレス機にピッタリ。Zマウントはこの手の小型レンズが意外と少ない。これは非常にもったいないことだと思う。
ちなみにこのカメラは私物ではなく母上の所有するもので、母上はこのカメラの前はD850を使っていたのでマウントアダプターを噛ませてFマウントのレンズを使っている(※なおD850は下取りで旅立っていった模様… 母さん俺にくれよ)
Z7にあまり興味がなかったのは、自身の使っているD800で必要十分だったことや、OVFが好きでEVFに食わず嫌い感があったのも確かだが、ぶっちゃけ見た目やフィーリングが不格好で食指が動かなかった部分が大きい。機能上は問題ないものの、なんか不格好で写欲をそそられない。
しかしこれはなかなかにカッコよく、使ってみたい感じがある。安価でありながらアルミ製の金属鏡胴で質感が高く、絞りリングやピントリングも適度なトルクがあって道具としてのフィーリングが良い。実際持って見ると今までのがウソみたいに軽く、これが本来のZマウントの姿なのだと実感する。
D800 & Z7
D800との比較。こちらは同じパンケーキレンズのAi NIKKOR 50mm F1.8sを付けている。
Z7の方が大きさ厚さ共に小さい。タテヨコもさることながら薄いのが素晴らしい。取り回しやすく邪魔になりにくい。重量としてはD800の約1114gに対してZ7は約903gと200g軽い。
一眼レフデジカメの「APS-Cに始まり、フルサイズで大型化し、ミラーレスで一転小型化」という技術発展の歴史は宇宙世紀時代のガンダムに通じるものがあって興味深い。あるいは信長⇒秀吉⇒家康の天下餅の歌とか。
Pentax K-3 & Nikon Z7
せっかくのなのでペンタックスK-3とも記念撮影。同じサイズ感・重量でなかなかお似合いだが、重要なのはZ7はこの小ささでフルサイズという点。このため画質ではZ7の方が優れている。
余談になるが、スピードライト(ストロボ)の性能の差が如実に現れた一枚でもある。上の写真(ペンタックス AF360FGZII)が散々迷いまくってイマイチな仕上がりなのに対して、コチラ(ニコン SB-700)はほぼ一発撮りでこの写り。もちろん一発OK。ニコン様偉大すぎる。
入手方法(2023.5)
新品で入手可能。Amazon、楽天、Yahoo!のネットショップで入手可能。TTArtisan三兄弟に比べると少しマイナーなので家電量販店はたぶん売ってないかもしれない。
このレンズで撮った写真
そんなわけでZ7をお借りして古刹・長谷寺を散策してみた。鎌倉駅から江ノ電で3駅目とアクセスが良く、見どころも多い。
仁王門
多くのサイトで評価されている通り、非常に古めかしいオールドレンズ然とした写りをする。周辺は流れ、光量落ちし(ケラレ)、色ノリもあっさりとしている。昔のカメラを知っている人は懐かしいと感じるし、デジカメ以降から入ってきた人はかえって新鮮に感じるかもしれない。
「古いレンズ」と聞いてイマイチピンとこなかったが、撮ってみるとどういう意味なのかがよくわかった。自身も中古レンズは結構漁ってきたクチだが、ほぼデジカメ以降に入ってきた世代なので、ここまで古い写りをするレンズは初めてかもしれない。これは楽しい。
地蔵堂
地面に散ったカエデの葉。
色ノリの悪さに驚愕w
しかし中心部の解像度はなかなかのもので、フルサイズのZ7でも十分に通用していることから、単に画質の悪いレンズでないことがわかる。
逆光耐性も皆無でフレアやゴーストが盛大に出る。ただしこのレンズはフードが付属していないため、そのせいでもあるかもしれない。欠点ではあるものの、それを逆手に取れば雰囲気ある絵を撮ることができるかも。
本堂
日影に入るとかなりオールドライクな写りをする。アンダーぽくも見えるが露出を上げると白飛びが目立つようになる。4枚目の小窓の写真でもわかるが、お寺の雰囲気にはなかなか合っている。
眺望散策路
展望散策路より鎌倉市街を一望。今日は海が荒く白波が立っている。この由比ヶ浜にて約800年前、三浦義村と八田知家が筋肉祭りを披露したものと思われる。義時も脱ぐべき。
このレンズはマニュアルレンズだが無限遠であればピント合わせは楽で、大体で合ってくれる。絞りリングがピントレンズの前にあり、しかもクリック感が軽い為、シャッタースピードで合わせるよりもこちらの方が速く、絞り開放から露出を合わせてF5.6とかF8とかにすると大体合う。
その他境内
卍(まんじ)池。ギャルとか好きそう(小並感)
映りは古いながら表現力はあるレンズだと思う。この日はなかなか寒かったがその空気感は出ている。
注意点:電子接点非搭載
このレンズで一点注意するべき点としては、電子接点が非搭載であること。同じMFレンズでもコシナ(ツァイスやフォクトレンダーなど)には搭載されている機能であるが、このレンズはないため以下のような制限がある。
・本体側のモニタやEVFに絞り値が表示されない |
・EXIFに焦点距離や絞り値が記録されない |
・Sモード・Pモードが使えない |
・フォーカスエイドが使えない |
EXIFの撮影データがないため、撮影日が記録されないことに注意。PCにデータを取り込む場合は「取り込んだ日」(=データ作成日)がその日になるため、撮った日を忘れないように工夫する必要がある。
まとめ
鎌倉駅で見かけたポスター。本人に似てて草
QRコードでしゃべる笑
良くも悪くもオールドライクなレンズであり、それをわかってる人向けのレンズだと感じた。神社仏閣とか昭和路地のような被写体と相性がよさそうだ。映りこそ古いが、中心部はちゃんと解像するしピン山も掴みやすしマウントのガタもない。決して粗悪品というわけではなく価格から考えればむしろ大健闘なレベル。
他方で携帯性の良さ、金属鏡胴の質感の高さ、圧倒的コストパフォーマンスという魅力もある。現状のZマウントでアダプタなしで付けられるコンパクトレンズはかなり貴重な存在でもあり、Z7やZFCに装着すると純正品以上に様になりとてもカッコいい。
現代的な機能や写りを望むならニコン純正のNIKKOR Z 50mm f/1.8 Sの方がよいが、サイズが大きく価格もやや高い。明確に性格が違うし両方買ってもいいかも。NIKKOR Z 40mm f/2やZ 28mm f/2.8があるが、プラ鏡胴プラマウントで作りが安っぽく、AF駆動モーター分直径が大きい。
2022年現在のZマウントの標準域の単焦点レンズはこれという決定版がなく、ゆえに選択の余地が生まれるため非常に面白い。純正品の次に買うセカンドレンズとしてはかなりおすすめ。なんせ激安だし。
気に入ったのでもうひとつテスト。後編に続く。
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