トリッカーズのコード版‥‥もといコードバンなモデル。お上品仕様。
どんなモデル?
トリッカーズの一足でジャックコレクションというラインらしい。通常の定番ラインに比べて変わった仕様の靴が多いとのことで、この一足も少々珍しい仕様になっている。
この靴も一見するとオーソドックスなフルブローグのカントリーブーツに見えるが、アッパーレザーが何とコードバンでできている。ディティールも通常のストウやモールトンよりもドレスに振っているため、通常モデルとは異なる風合いを楽しめる。
ディティール
全体像





トリッカーズの通常ラインにはエスプレッソというダークブラウンのカラーがあるのだが、これは赤みがやや強いバーガンディといったところ。どこのタンナーはわからない。ホーウィンのシェルコードバンに似ているが、多分違うような気がする。
コードバンの艶は一言で例えると上質な財布とかランドセルみたいな艶だ。
いや自分はコードバンのランドセル買ってもらう程裕福な家庭ではないので、イメージになってしまうのだが、艶やかでありながらも馬革特有の弾力とモチモチとした質感を備えており高級感を醸し出す。ここは明らかにカーフレザーとは違う点だろう。




この靴は中古なのと、まだ顔料を入れていないこともあっては履き皺が白くなってしまっている。これはコードバン表面が起毛するためだ。グレージングという工程で寝かしつけているところ、履いているうちに摩擦と屈曲で戻ってしまうらしい。
いうならばコードバンの味ということになるのだが、これを消したい場合は水牛角等でコードバン表面をこすりつけ、ワックスやクリームを入れると目立たなくなるようだ。綺麗に履こうとするとそれなりに手間が掛かる靴かもしれない。
フルブローグ


このブーツはジャックコレクションというラインのもので、通常のカントリーブーツとは少しディティールが異なっている。
まず違いとしてはフルブローグのパターンが異なる。アーチ部分はそのままにトゥ部分の穴飾りがないシンプルなものでクセが少ない。またコバの張り出しもかなり控えめになっている。ウェルトもストームウェルトではない通常のものだ。
少々寂しい感じもあるが通常のフルブローグよりも上品で、光沢の強いコードバンには合っている。さすがにガラスレザーのような均一な艶とはいかないのだが、コーティングされていないがゆえに履き皺がヒビにならず、小傷であれば磨き直して消せるのはいい。


そして最大の違いは内羽根という点だろう。ブーツで内羽根は珍しい。筆者はオフィスカジュアルにかまけて仕事でストウやモールトンを履いている罰当たり者なのだが、これならば素でフォーマル用途も行けるかもと思える。キャップドトゥともなればもはや完璧だ。
ただし内羽根のブーツは脱ぎ履きが結構面倒くさい。そしておそらく内羽根の根元部分(アイレットの下にあるV字の縫い目部分)の縫製に負担がかかると思うので、耐久性という意味では難があるかもしれない。
やはり靴はミリタリーのサービスブーツをルーツに持つ外羽根の方が実用的で、ブーツになるとなおさら強くそう感じる。流行らないのは訳があるということだ。
レザーソール


ソールはレザーソールになる。耐水性がないので雨は苦手だが、アッパーレザーのコードバンも水に弱いため、仕様としては噛み合っている。見た感じ市場流通品もコードバンにはレザーソールというのが主流のようだ。
この靴には新品のスチールトゥ(ヴィンテージスチール)が付いていた。おそらく持ち主が売却する際につけてくれたものと思われるが、残念ながら写真を撮り忘れてしまい、いいやと思ってそのまましばらく履いた状態のものになる。
その他


この靴はの型番はM6439で、製造番号は843565、サイズは8でフィッティングは5らしい。サイズはUKかUSかはわからない。
市場流通品にはUKサイズで表記されている例が多いが、別注モデルであり、どこが別注してるのかはわからない。見た目はモールトンやストウに比べると一回り小さく、着用感も捨て寸がほぼない感じなのでUSサイズかもしれない。
トリッカーズは中古購入だと本当に読めない。そこが楽しくもあるのだが。
コードバンの特徴
コードバンの靴はいくつか持っているが、共通した特徴しては以下のようなものがある。それなりに(かなり)手間がかかるのだが、そこが面倒であり可愛くもある。
良くも悪くも勝負靴なのかなぁ。
①濃淡が出やすい
前述の通りコードバンは濃淡が出やすい革らしく、テンションのかかる部分の色は薄くなりやすい。特にヴァンプの履き皺の入る部分(つま先と甲の間の屈曲する部分)は色の濃淡が出やすいようだ。
摩擦や屈曲でコードバン表面が起毛することが原因で、顔料の入っていないプレーンのシュークリームを塗っているとこうなりがちだ。気になる人は水牛角のシューホーンなどで革表面をこすり、上から顔料の入った靴クリームを塗るといい。
②水に弱い
またコードバンは水に弱い。コードバンは馬革の銀面を取り除き、コードバン層と呼ばれる層を磨いて仕上げるので銀面が存在しないためだ。そのためか水濡れすると表面が膨れてしまい跡が残ってしまう。
乾燥させれば目立たなくなるが、高級品なので気になる人もいるかもしれない。雨の日は基本履かないようにして濡れた際は極力早めに拭き取るといい。
③乾燥しやすい
またコードバンは乾燥しやすい。これも前述の通り馬革の表面にある銀面を削いでしまっているためだろう。しばらく放置していると手で触って分かるくらい乾燥する。
財布の場合は手油などで持つのだが、靴の場合はこまめにクリームを入れた方がいいかもしれない。触ってみて「なんか乾燥してきたかも?」と感じた時が手入れのサインだろうか。
④ブルームが出やすい
コードバンはブルームが出やすい。これはチョコレートを高温下(夏の暑い日)などで溶かしてしまった後、冷やすと溶けだした油脂が固まって白く見える現象と同じで、コードバンに含まれた油分やワックスが凝固して白く見える現象になる。
コードバンの場合、履き皺が起毛で白くなってしまうこと、乾燥しやすいことも相まってクリームを多く入れがちで、その後外気温が下がったり水に濡れたりすると冷えて油分が固まってこうなりやすい。
クリームを入れすぎるとこうなるので、ブラシやウエスで拭うといいだろう。ブルーム自体は特に問題はない。
入手方法
ジャックコレクションは現在は展開していないため入手方法は中古品のみとなる。そしてこのモデルM6439は定番ではなく企画モデルと思われるため、このモデルを決め打ちで入手することは難しい。
ただし「コードバンのトリッカーズ」は生産数がそこそこあるようで、こまめにオークションやフリマアプリを巡回していると見かけることがある。コードバンということもあって通常品よりは高くなる。オールデンに比べると安価で求めやすい。
メンテナンス
シュークリーム
サフィールからコードバンクリームというものが出ている。保湿力が高いニートフットオイルが配合されているらしい。少々高価だがこれを塗れば間違えはない。ニュートラルの他に顔料の入ったものもある。この靴ならバーガンディで決まりだ。
シューレース

このモデルはシューレースが通常よりも細いものがついていたのだが、かなりボロボロになっていて切れそうだったので純正品のカントリーブーツ用のひもを取り寄せて付けてみた。ところがなんか野暮ったくなってしまった。一応ここで買える。



比べるとこんな感じ。ドレス風味強めなのでやっぱり細紐の方が似合うかな。
そんなわけで今回はガスひもを付けている。ダークブラウンのものが売ってなかったのでとりあえず自宅にあったブラックを間に合わせで付けているが、これはこれでアメリカンな雰囲気に見える。
これではあんまりなので細紐でオススメなのはこういうのがある。網目が大きめでほどきにくく、金属セル(メタルチップ)なのでうっかり踏みつぶしても割れにくい。
まとめ

今回はトリッカーズのコードバンモデルの紹介だった。レギュラー品のエスプレッソよりも上品な佇まいなのと、珍しいモデルなのでかぶりにくいのはいいかもしれない。
バーガンディの色味は絶妙で、ジーンズにもオフィスカジュアルにも合うので汎用性が高くて履きやすい。筆者は大雑把な性格なので、履き皺も気にせずシューレースも上から3つまでしか結ばずラフに履いている(内羽根のブーツは結構面倒くさい)
‥‥のだが、本音言うとキッチリ履きたい靴だしそういう靴だよなと思う。毎回グレージングとオイルを入れて色味と艶を出し、シューレースも上まできっちり結んでカッチリした履き方が正しいのだろう。本来的には格式の高い勝負靴という感じになるのかな。






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