10年以上履き潰したワークブーツを老舗のリペア屋さんで修理してもらった話。
Beckman 9011(13年経過)


筆者は普段ブーツを履いていることが多い。これはカメラ趣味のお供で、よく歩く上に雨天や悪路も多いので耐久性・対候性に優れたブーツの方が普段使いしやすいためである。
特にこのレッドウィングのベックマンなどは世話になった靴で、2012年に購入して以来13年に渡って履いている。筆者はフリーター歴がそこそこ長いのだが、その間足元を支えてくれた靴で、仕事・試験・プライベートといろんなところに連れて行ってくれた靴で感慨深い。


そんな苦楽を共にしたベックマンだが13年も経つとさすがにダメージが目立ってくる。仕事で使っていたためトゥは傷が入っていて銀面の剥離もある。コロンブスのカラーリペアをクリームに混ぜて補色をしたり、銀面の剥離は瞬間接着剤で埋めたりして今に至る。
ソールもかなりすり減っていて、ヒール部分のアウトソールはかなり摩耗をしている。外側がすり減っているのだが、これは筆者が普段ガニ股歩きをしている証拠であり、なかなか恥ずかしい‥‥。
そしてこのソールなのだが、この前期ベックマンには厄介な点があって、、

加水分解でボロッボロになってしまうんである。ベックマンはミニビブラム風味のセパレートソールが付いているのだが、トゥ側のソールは実はウレタンゴムでできていて、そのため加水分解してしまうらしい。
指でつまむとソールの突起部分がボロボロと取れてしまう。右足の方などは縫い合わせの内側部分がゴッソリ脱落してしまっている。これは参った。
そんなわけで修理を考えていたのだが、ダナーの良い感じの靴をブックオフで購入してこれを大体で使っていたこと、さらにはホワイツセミドレス(中古)をそれなりに安価な価格で入手できてしまったことから先延ばしになっていた。酷い浮気者である。
そのホワイツセミドレスを履いてみたところ実はベックマンとは似て非なる靴で、ベックマンの良さも再発見したことから、これは両方残してい履き比べてみるのもいいかなと思い修理をお願いした次第となる。こういうことってあるよね。
ユニオンワークス横浜
そんなわけで今回はユニオンワークス横浜にお願いすることにした。ユニオンワークスは靴好きの間では最早知らない人はいないリペア屋さんで、メンズファッション雑誌にも度々掲載される老舗なのだが、なんと横浜にも店舗があったらしい。
2019年にお店を開かれたとのことで、これは非常に助かる。



店舗は山下町の一角にある。ヴィンテージマンションの3階にある。知る人ぞ知るといった佇まいがまた良い。
カスタム内容
このユニオンワークスのすごいところは修理のみならずカスタム(改造)を行ってくれるところだ。たとえばレザーソールからダイナイトソールやビブラムソールに換えるとか、ミッドソールを一枚足してダブルにするとか、フックをアイレット(ハトメ)に換えるとかをやってくれる。
純正のアフターを受けられなくなる可能性もあるが、仕様を変えたいという人には助かる。もちろん既存の仕様のまま修理してくれたり、ライニングの破れ補修といった修理もやってくれるので、ブーツで困ったらとりあえず見てもらうとよい。
筆者の場合‥‥
筆者の持ち込んだレッドウィング ベックマンは持ち込まれるお客さんがかなり多いとのことだった。前期モデルはソールが加水分解してしまう一方でフェザーストーンレザーの革質がいいので、直してでも使いたいという人が多いようだ。
今回はダイナイトソールに換装してもらうことにした。店員さんによると、ミッドソールをダブルにすると既存仕様と同じくらいの高さ・履き心地になるらしいので、その様にお願いした。
なおこのお店ではその他の細かい仕様を決めることができるようになっていて
①ソールのカラー(ダイナイトの場合ブラック・ブラウン・レッドの3種類)
②ウェルトのステッチカラー(ホワイト・ブラウンなど)
③ヒールの整形(ホワイツセミドレスのようにテーパーをかけて丸めるか)
を指定できる。これは知らなかった!合鍵作ってくれる感じのリペア屋さんだと多分この辺は指定できないと思われる。
ホワイツセミドレスとキャラを差別化したかったので、ダイナイトソールの色はブラック、ウェルトのステッチはホワイト、ヒールは整形しない(レッドウィング純正と同じ)という感じの仕上がりにしてもらった。
仕様を伝えるとその場で見積をしてくれる。今回はオールソール+ミッドソール追加の仕様で23,000くらいだった。納期は2週間くらいとのこと。思ったより早くて嬉しい。
仕上がった結果





そんな感じに修理から帰ってきたベックマンだったが仕上がりはかなり満足。これでしばらくはいい感じに歩くことができそうだ。
ダイナイトソール


今回はダイナイトソールでやってもらったのだが実はダイナイトは始めてだった。これヒールゴムの素材がトゥ部分のゴムとは違ってて、プラスチックのような硬質な素材になっている。これは知らなかった!
ダイナイトヒールは削れやすそうではあるが歩くとレザーソールのようないい音がする。歩き心地も従来のレッドウィングのイメージとは変わるかも。これは楽しめそうだ。従来の感触が好きな人はビブラム#2055(ビブラムダイナイト)という方法もあるだろう。
経年によるヤレ

このベックマンだがそれなりに古いもので結構ヤレている。この靴の場合特に一度水洗いしているので革が全体が縮んでいる。
水洗いをするとレザーに含有されたオイルが水と置き変わって洗い流され、その後置換された水が蒸発するので縮んでしまうのは避けられない。そのためこれはタブーなのだが10年も履き込んでいると一度はやりたくなる。アメリカ人も普通に洗うだろう。
水洗いすると革が少し縮んでジーンズのような変化がある。特に変化が大きいのはシャフト(くるぶし)で、ステッチは縮みパイピングはうねりが出て、全体的に少しくたびれた感じになる。ただシュリンクトゥフィットみたいな感じもあってフィット感は上がるため、見た目に反して履きやすい。
そんなやれた靴でソールだけ新しくなったのだが意外と違和感はない。ブーツに関してはアッパーとソールは別物ということだろう。少し履いてソールを削ればより歩きやすくなるし見た目も馴染むと思われる。
シューレース交換

せっかくなのでシューレースを交換することにした。横浜にはレッドウィングの直営店がある。最寄りはみなとみらい線みなとみらい駅、マークイズみなとみらい2階にある。2025.4にオープンしたばかりでまだ新しい。
ここはレッドウィングのオプションや付属品を取り揃えていている。中でも嬉しいのはシューレースが充実しているところだ。丸紐は長さ・カラーに各種取り扱いがあり、ベックマン用の蝋引き紐も売っているのが嬉しい。レッドウィングのシューレースは高品質でさほど高くもないので重宝する。
またソール交換はここでもできる。ベックマンの場合オールソールで税込\20,900、納期は3か月程とのこと。工場送りになるので少し長くなるが純正という安心感は大きいか。
まとめ
今回はお気に入りのブーツを修理してもらった話だった。中途採用枠でホワイツセミドレスという上位互換が入手できたためどうするか迷ったが、この靴は思入れが深かったので修理してもらって正解だった。満足感は非常に高い。
今回はオールソールのためそれなりに高くなったが、ハーフヒール交換とか、スチールトゥ取り付けとかならあまり高価ではないので、とりあえず痛んだら相談に乗ってもらうといいかもしれない。
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