我が家で順調に増殖していくカントリーブーツ(三足目)。そして輝くコマンドソール!廃!
どんなモデル?
イギリス・ノーザンプトンに工房を構える老舗のシューメーカー、トリッカーズ謹製のカントリーブーツ。このモデルもやはりモールトン(Malton)という。ストウ(Stow)ではない(この説明も三回目‥‥)
これも前回のパリジャンブルーと同じで変わり色のモデルとなる。ホワイトのアッパーレザーに茶色のコマンドソールというなかなか珍しい組み合わせの一足。
ディティール
全体像



アッパーレザーにホワイトレザーを使用したモールトン。コバ部分もナチュラル仕上げになっているため上品な感じになったカントリーブーツ。中古品だがほとんど使われていないこともあり、履いてしまうのをためらってしまう程美しい。
ちょっとアルビノっぽい雰囲気があって好き。




一見ヤワに見えるが、そこはトリッカーズ。そしてカントリーブーツなので普通にガッシリしている。触ってみると厚手でハリのあるカーフレザーを頑丈に縫い付けられており、その作りの良さや堅牢さは通常品と何ら変わらない。
ホワイトレザーは顔料(塗装仕上げ)なので、通常のレザーよりも耐水性はむしろ上まである。もっとも汚れてしまうのでそういう使い方はしたくないのだが。
フルブローク


フルブロークは通常のモールトンと同様のパターン。トリッカーズのフルブロークはやりすぎていないのが好きで、穴飾りのところに墨入れなどはされていないのがいい。
チャーチのバーウッド(Berwood)などはトリッカーズよりも穴飾りが多く、墨入れがなされていることがあるのだが、重厚な反面蓮コラやタトゥーのように見えてしまうこともあるので、ちょっとやりすぎかなーと思うこともある(チャーチファンの方ごめんなさい)
素朴で気取らない感じもトリッカーズの良さなのかな。
ソール


この白い子なのだが、意外にも武骨なコマンドソールが付いている。そのためやろうと思えば雨天やオフロードでもガシ履きも可能である。そしてこのコマンドソールだがよく見るとダークブラウンになっていてさらに珍しい。
ダイナイトソールがブラックとブラウン、ブリックソール(Brick red)とカラーバリエーションがあるのは知っていたが、これは知らなかった。ITSHIDE社がトリッカーズのために卸している特注品かもしれない。色を合わせてくれているため少々武骨ながら雰囲気的には合っている。

通常品のブラックのコマンドソールと比べるとこの通り。これは同じモールトン(ネイビー)についているもので、並べてみると確かに色味が違う。このダークブラウンのコマンドソールはなかなかいいなぁ。ビブラムとはまた違う個性があるんじゃないかと思ったり。
ガシガシ履けてハードユースできる白靴というのも面白い。
その他

その他ディティールとしてはこの靴は茶ロゴになる。金ロゴ=別注品 茶ロゴ=レギュラー品という説もあるらしいが、結局憶測の域を出ない。製造ロットによって違うのだろうか。


シャフト裏側に書かれている製造番号・型番・サイズ表記。この靴は80万第シャフト裏側に書かれている製造番号・型番・サイズ表記。H2508はモールトンの型番で、サイズは8、フィッティングは5ということになる。
この靴は864726とあり、80万番台なのでそれなりに古いものなのかもしれない。調べたところ80万番台は90年代以降~00年代くらいに作られた靴らしい。トリッカーズがチャールズ皇太子からロイヤルワラントを授かったのは1989年なので、それ以降に作られた物になる。
これの記事を書いているのは2025年8月で、少なく見積もっても四半世紀経っている靴なのでアンティークに片足突っ込んでいる靴といっていい。ましてホワイトの靴がこれほど保存状況が良好に保たれていたのは驚くべきことで、足入れするのが少々恐れ多くもある。
シューレース交換




この白靴であるが、そのままだといささか上品すぎて結婚式の新郎新婦とか、女子プロレスラーが入場の時に履いている感じが出てしまうので、ライトブラウンのシューレースを取り寄せて履いている。
トリッカーズ青山店には売っていなかったので、渋谷にあるトレーディングポスト本店に駆け込んだところ在庫品として持っていてくれたので、大喜びして帰った次第。お値段¥1,200円。安い。


シューレースを交換してカジュアルダウンしてみたところ。うん、普段使いはやっぱりこちらの方がしやすいかな。どうせボトムスの裾で隠れてしまう部分ではあるけれど。
お上品な靴なので白スニーカー感覚でTシャツ+ジーパンとかに合わせるといい感じになりそうだ。夏にブーツは筆者的には全然履くのでラフな格好で足元を綺麗目にしたいコーデなどで使い勝手が良さそうだ。
しかしこのホワイトのカントリーブーツ。あらためて美しい靴だと思う。これは観賞用としても普通に有りなのかもしれない。
履き心地

履き心地としては先に入手したネイビーが割ときつく、それなりに修行をしたので覚悟をしていたのだが、この個体については割とそのまま履けてしまった。どうやらトリッカーズは同じサイズでもそれなりにばらつきがあるようだ。
上記の写真の通り、履き口が開いていない新品同様の靴なのであるが、右足のきつさは全くない。逆に左足がほんのわずかきつさがあるが、馴染めば問題ないだろう。同じモデル・同じサイズでも着用感が違うので、靴は本当に試着してみないとわからない。
そしてホワイトだが、ジーンズやツイルパンツと相性が良く意外と着まわしやすい。オッサンが履いて似合うかどうかという別の問題もあるのだが、コーディネイト(色合わせ)としては遜色ない。
ブーツ好きだとブラックとかダークブラウンとかとかバーガンディとか重くなりがちなのでむしろ爽やかでいいかもしれない。
入手方法
ホワイトに関してはレアカラーになるので入手難易度はちょっと難しめ。ネイビーのモールトンのところでも述べたが、トリッカーズのレギュラーカラーはエイコーン、マロン、エスプレッソ、ブラック、シーシェイドの5色なので、ホワイトは特注品という扱いになる。
そのため確実に入手したいならカラーオーダーフェアで注文することになる。どっかのショップが別注規格品で出すのも待つのも手だ。
ヤフオクメルカリなどの中古品を待つのも手だが、ホワイトゆえ傷や使用感といったコンディションはある程度目をつぶる必要があるし、ソールもレザーソールが多いのである程度妥協をする必要は出てくるかもしれない。
ただし数はそれなりに見かける上、色合わせの難しさから敬遠されることが多いからか、価格はこなれていることが多いようだ。この個体も新品同様品で¥19,800+送料という超掘り出し物だった。良き出会いに感謝。
メンテナンス
この靴に関してはホワイトレザー=顔料(塗装)なので、色付きのクリームを塗った方がいいだろうと思っている。塗装故にクリームは入りにくいと思われ、色的にも隠蔽力が欲しいのでサフィールのホワイトを塗ろうと思う。
ただししばらくはあまり油分がが入らないだろう。
ホワイトは汚れやすく、ジーンズの色が移ったりもするのでリムーバー(汚れ落とし)とカラーリペアも世話になるだろう。新品同様で新しすぎる靴なのでまだ塗っていないのが本当のところなのだが‥‥。
白靴は新品の初々しい感じはもちろん好きで、この姿は履き下ろした直後しか見られない貴重な姿なのだが、少し汚れが入ったり艶や皺が出てきたりして使用感が出てきて感じもまたいい。少々やれてこなれた感じにまた好きで、そこは通常の革製品同様の楽しみ方を味わえる。
汚れやすいのは当然として、やりすぎるとキザな印象を与えてしまったりギャル男っぽさが出たりして何かと敬遠されやすい色だが、1足あると面白いのでオススメだ。
まとめ
欲しいが置き場所がないため自制をしていたが、結局買ってしまった1足。新品同様品なこともあって非常に美しい靴で、使うかどうか躊躇うレベルなのだが、せっかく入手したので履いてみたいと思う。白靴のエイジングは珍しいと思うのでその意味でも興味深い。
トリッカーズはサイズで失敗する人や履き慣らし途中で挫折する人が多いのか中古価格が安い。2万円以下という破格で入手できることも珍しくなくレッドウィングよりも安い。そして品質はコレなので、今まで量販店とかアウトレットで買っていた靴は何だったのかとなってしまう。
そしてトリッカーズは玉数が豊富で、ネイビーやホワイトといったレアカラーの中古品も多く、しかも安いので自然と手がスルスル伸びてしまう。そんなわけで気付けば部屋中にカントリーブーツが生えている構図は今まで散々レビューした中華時計と全く同じである。これはいけない。


クロケット&ジョーンズのバーフォードとのショット。これも白靴である。同名の靴はトリッカーズにもあるがこちらは短靴である。クロケはモデル名が多すぎてよくわからないが、ブーツのコニストンをローカット(短靴)にしたモデルがこれという認識になるのかな。
そのコニストンだがやはりホワイトの別注モデルが売っていた。このバーフォードと同じくグレインレザーというのが憎い。さすがに白靴3足は余ると思う。いいえ私は遠慮しておきます‥‥。




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