【コラム】クロスフィルターでイルミネーションを撮影してみよう!

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▶カメラ

付けるだけで世界がキラキラ輝きだす魔法のフィルター。

クロスフィルターとは

ソフトフィルターと同じくエフェクトを発生させるフィルターとなる。これを付けると点光源が4条の光に伸びるようになり、十字のエフェクトを発生させることができる。

原理としてはソフトフィルターと同じで、ガラス表面に格子状の溝が掘ることで光を拡散させて光条を発生させている。なおソフトフィルターは擦りガラスの要領で表面に微細な傷や粒子を付けることで光を拡散させている。


溝の掘り方によって発生する光条の形は変わり、ヘキサゴン(六角形)の溝を掘るとスノークロスフィルターとなり、オクタゴン(八角形)の溝を掘るとサニークロスフィルターとなる。最近は一文字に光条が伸びるアナモフレアフィルターなども出ている。

これらフィルターはケンコー・トキナー、マルミなど各種フィルターメーカーから発売されている。最近だと海外製のものなどもある。

このフィルタで撮った写真

今回は京浜急行線 上大岡駅周辺、みなとみらい線 新高島駅周辺を散策。なお使用機材は従来にも紹介した ニコンZ7+シグマ50mm F1.4 Art の組合せとなる。


上大岡駅周辺

このフィルターを取り付けて撮影すると4条のクロスエフェクトが発生する。このクリスマスツリーも光が滲むことで幻想的な雰囲気に仕上がる。


クロスフィルターはソフト効果もあるため、光が拡散して柔らかい写りになる。大口径レンズを絞り開放で撮った場合、ピントの合う深さはクロスエフェクトが発生し、その他は丸ボケとなる。


ところでなぜ上大岡なのかというと、たまたま仕事で寄った先なのと、ヨドバシカメラがあったから。新しく入手したレンズやフィルターで早速その場で試してみたくなるのは割とカメラあるある。

店員さん「ここで装備していくかい?」


クロスフィルターはこんな感じでちょっと控えめかつアンダーな描写が似合うかも。この写真もフィルターなしで撮ると多分パッとしないが、エフェクトが入ることで花を添えた形になり、明るくなる。

新高島駅周辺

京急つながりで新高島駅。横浜駅─元町・中華街駅を結ぶみなとみらい線の駅で、周辺にはLG、資生堂、京浜急行などの大企業本社ビルが立ち並ぶ。

……のだが、隣駅の横浜駅と近いのであまり使われない駅でもある。上記の企業ビルにお勤めの方も日産本社ビルの通路を通って横浜駅から歩いてきているのが大半だろう。乗り換える時間よりも直接歩いた方が早い。

しかし見どころはあり、この季節になると駅周辺をLEDでライトアップしてくれる。これがなかなかきれいで、一通りも控えめのため好きなだけ撮ることができる。


この一枚はよく撮れていると思う。

近距離のピントが合っているところはクロスとなり、少し距離が離れると丸ボケに変わっていく。光の質感の変化が楽しい。


京急本社ビル前のイルミネーション。街路樹が京急のトレードカラーの赤色と電球色で彩られている。このように引きで写すとなかなか上品な雰囲気になる。


クロスフィルターは輝度のが大幅に異なる光源は一緒に写さない方がいいかもしれない。この絵は信号機や街灯のような輝度の強い光源部分が、デッカイ×マークになってしまいちょっと微妙かも。こういう構図はプロソフトンやブラックミストの方がよさげ。

このフィルターで撮っていて気付いたこと

クロスフィルターは初めて使ったが色々な発見がある。以下で試したことを述べていく。

光条の向きは調節できる

クロスフィルターはC-PLフィルターのようにフィルタ枠が回転できるようになっており、これを回すことで光条の伸びる角度を変えることができる。左の写真からそれぞれフィルタなし、フィルタ角度45度、フィルタ角度90度となる。

フィルタ角度を90度にして光条を立てるとまた雰囲気が変わるが、やりすぎるとなんだか人類補完計画みたいになってしまうのでこれもなかなか難しい。写真の場合色も相まって余計サードインパクト感がある(笑)

絞ると光条は控えめに

左からそれぞれF1.4、F8、F16で撮ったもの。絞ると光条は控えめに、かつシャープになっていく。後述するが、クロスフィルターには光条が短いショートタイプのものもあるので、これを使うと控えめに表現できる。

HDRで撮ると…

左側は通常撮影、右側はZ7のHDR機能で撮影したもの。かなり雰囲気が異なる。右側はなんかマシュマロみたいな質感になってお菓子っぽい雰囲気に。おいしそう。

鋭い光源はNG

車のヘッドライトやテールライト、信号機、ナトリウムランプなどの街灯類などの直進性の強い光源をクロスフィルターで撮ってしまうとこうなる。

中学受験の難しい算数のテストを受けた時のような深い悲しみを背負うことになるので、こういうシチュエーションではソフトフィルターを使おう。

まとめ

クロスフィルターは今まで食わず嫌いで避けていたのだが、使ってみるとなかなか面白い。ソフトとクロス、ND、C-PLは各種1枚は備えておくと便利だろう。

とりわけLEDのような指向性の強い光源によるイルミネーションを撮る場合に活躍できる。LEDは光量の割にあまり光が広がらないので、こうしたクロスフィルターやソフトフィルターを用いて光を滲ませるとイメージに近い仕上がりの写真を撮ることができるかも。

関連商品

クロスフィルターにはいくつかのバリエーションがあるため、以下でケンコー・トキナーのものを紹介。バリエーションがあるのでイメージや用途に合った物を用意するといい。

またフィルターは基本的には「大は小を兼ねる」ので、大きめのサイズを1枚買っておいて、ステップアップリングで調整すれば使いまわしが可能。以下で紹介するものはフィルター枠77mmサイズとなる。

クロススクリーン(4条線)

これは4条(十字)に光が伸びるオーソドックスなタイプ。イメージ的には冬に使いやすいが、少々うるさかったり狙い過ぎた感じ出て苦手な人もいるかもしれない。人類補完計画状態になるのがイヤな人は後述のスノークロスやサニークロスという選択肢もある。

なおケンコー・トキナーのクロスフィルターは、通常のスタンダードタイプ(リンク上段)と、線が少し短くソフト効果のかかるトゥインクル・スターシリーズ(リンク下段)がある。信号やヘッドライトが写った時のクソデカ×マークが苦手という人は後者を選ぶとよい。


スノークロス(6条線)

こちらは6条に光が伸びるタイプで、上記の十字のタイプよりも控えめで使いやすい。スノー(雪)というイメージから冬を連想させるが、どんなシーンにもそつなくこなせるので意外と万能。

これもスタンダードタイプと、トゥインクル・スターシリーズの2種類展開している。


サニークロス(8条線)

これは8条に線が伸びるタイプで、その名の通り太陽がさんさんと輝くようなイメージになる(ここ笑うところ)

そのためか昼間使う作例も見られる。またオールドレンズっぽい雰囲気を味わいたいときはこれを付けるとその気分を味わえる(※昔のレンズは円形絞りでなく、絞り羽根が6枚、8枚など少なかったため三脚で夜景撮影をすると光条がはっきり伸びる)

これもスタンダードタイプと、トゥインクル・スターシリーズの2種類展開している。


アナモフレアフィルター(1条線)

これは今までのものとは少々趣向が変わり水平行フレアが発生するフィルター。光源が1条線に滲むタイプのものになる。※なおこのフィルターは82mmのみとなる。他のサイズに使う場合はステップアップリングで調整することになる。

ブラックミストフィルターと同じく元はシネマなど映像系で使われていたフィルターで、別名ストリークフィルターとも呼ばれる。割と新しいフィルターで、溝切りの部分には色が入っておりその色が光が強く出るようになっている。



ケンコーのものは少々高価なのでNEEWERのものを紹介。こちらは各サイズ展開しており、価格的もリーズナブルなので手を出しやすい。これはブルーになる。

なお余談だが、これを付けて工場地帯を撮ると魔法少女まどか☆マギカみたいな雰囲気になる。まどマギはアニメ作品だが映像技法が相当技巧的で、とにかく光源の使い方が巧い。

実写の映像作品におけるフィルターワークのノウハウが多く取り入れられており、たとえば4話のまどかとほむらの会話部分などアナモフィックレンズで撮ったような描写が数多くみられる。このシーンは川崎の浮島方面がモデル?と言われているので東京・神奈川の人はアクセスしやすい。

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